李大統領が「竹島上陸」という愚挙に至るまで

 日韓が領有権を争っている竹島(韓国名・独島)で8月19日に李明博(イ・ミョンバク)大統領直筆の石碑の除幕式が行なわれた。本来は韓国の解放記念日である8月15日に行なう予定であったが、荒天でこの日に延期されたものだった。

 除幕式には孟亨奎(メン・ヒョンギュ)行政安全相や金寛容(キム・グァンヨン)慶尚北道知事らが出席した。石碑は「独島守護標石」と名付けられ、高さ1.2メートルで、表にハングルで「独島」、裏に「大韓民国」、側面には「2012年夏 大統領 李明博」との文字が刻まれている。

 ところが、この石碑の土台の一部など複数の構造物が、韓国の環境保護当局の許可を受けずに設置されたことが発覚し、土台の一部などを撤去しなければならなくなった。韓国は竹島を国の天然記念物に指定しているが、慶尚北道と地元鬱陵郡は昨年8月、韓国の国旗の「太極旗」をイメージした石碑土台や道旗掲揚台、虎の像のほか、これらの竣工記念碑まで違法に設置し「めったやたらにつくり、独島を大きく傷めた」と非難を受けて撤去となった。

カテゴリ: 政治
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執筆者プロフィール
平井久志(ひらいひさし) ジャーナリスト。1952年香川県生れ。75年早稲田大学法学部卒業、共同通信社に入社。外信部、ソウル支局長、北京特派員、編集委員兼論説委員などを経て2012年3月に定年退社。現在、共同通信客員論説委員。2002年、瀋陽事件報道で新聞協会賞受賞。同年、瀋陽事件や北朝鮮経済改革などの朝鮮問題報道でボーン・上田賞受賞。 著書に『ソウル打令―反日と嫌韓の谷間で―』『日韓子育て戦争―「虹」と「星」が架ける橋―』(共に徳間書店)、『コリア打令―あまりにダイナミックな韓国人の現住所―』(ビジネス社)、『なぜ北朝鮮は孤立するのか 金正日 破局へ向かう「先軍体制」』(新潮選書)『北朝鮮の指導体制と後継 金正日から金正恩へ』(岩波現代文庫)など。
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