クリーン・エネルギー持続への国際貢献

執筆者: 2012年9月19日
タグ: 中国 日本

 エネルギー安全保障のコンセプトの1つは、「ベスト・ミックス」にある。各種エネルギー源について、合理性、効率性、経済性、安全性、継続性などの要素を勘案し、それらを構造的に組み合わせるという政策が必要とされる。需要を満足させ、自然環境を保護し、安全と安心の社会環境を保障しなければならない。

 石炭が1次エネルギー源の60%を占める中国は、国際社会から環境汚染を指摘され、クリーン・エネルギー源への転換が急務となっている。しかし一方で、クリーン・エネルギー源と言われてきた原子力へと転換するにも、福島の原発事故が示したとおり、エネルギー施設自体の安全性が問われる。世界の原子力発電所で、現在稼働中もしくは稼働可能な原子炉が435基ある。増え続ける電力需要を支える必要がある発展途上国の原発建設は、当分の間止まらない。2030年には、原子力による世界の発電量は、現在の2倍にのぼると想定されている。排出される放射性廃棄物の処理は、それぞれの国内問題ではなく国際的問題となっている。発電所に加えて、廃棄物処理施設における安全性も同様に確保する必要がある。

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