世界展開する「中国和平統一促進会」の狙い

樋泉克夫
執筆者:樋泉克夫 2012年9月20日
カテゴリ: 国際 外交・安全保障

 やはりというべきだろう。野田政権が尖閣国有化を打ち出した直後の9月11日、バンコクの日本大使館前に100人ほどが集まり、大小の五星紅旗を打ち振り、「釣魚島は中国の神聖な領土だ」「釣魚島は中国のものだ」「我が山河を還せ、我が中華を愛す」などと書かれた横断幕を持ちながら、「軍事力を見せ付けろ」などと気勢を挙げていた。日本政府の許し難い行為を憤る一般のタイ籍の華僑・華人とのことだが、服装や言葉使いから判断して、多くは最近の中国からの移住者としか思えない。

 代表者と称する人物は、「釣魚島一帯は、ポツダムとカイロの両宣言によって中国が取り戻したものであり、中華民族が血と命を引き換えに奪い返したものであり、中華民族の尊厳の現れであり、国際正義と世界の公理の勝利の印である。日本当局は中国政府の厳正なる立場を弁えず、全世界の華僑・華人や平和を愛好する人々の強烈なる反対にもかかわらず、島を購入するなどという茶番劇を演じている。だが、一帯における中国の神聖なる主権を侵すことは断固として許さない」と語っていた。なかには「国内の矛盾を転化させようとする日本政府の野望が背景にある。身はたとえ海外に在っても、この体を流れているのは龍の子孫の血だ。日本政府に対し、断固として抗議する」と語る者もみられた。

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執筆者プロフィール
樋泉克夫
樋泉克夫 愛知大学教授。1947年生れ。香港中文大学新亜研究所、中央大学大学院博士課程を経て、外務省専門調査員として在タイ日本大使館勤務(83―85年、88―92年)。98年から愛知県立大学教授を務め、2011年より現職。『「死体」が語る中国文化』(新潮選書)のほか、華僑・華人論、京劇史に関する著書・論文多数。
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