南アフリカ・コーポラティズムの崩壊?

執筆者:平野克己 2012年9月28日
タグ: ドイツ 日本
エリア: アフリカ

 南アフリカのプラチナ鉱山で起こった労働争議は45人の死者を出し、ズマ大統領が現場に赴くまでの大ごとになって、先日ようやく解決をみた。ただし、その余波は現在金鉱山に及んでいる。南アフリカでは激しい労働争議は年中行事というに等しく、死者が出ることも珍しくはないのだが、今回は少々事情が異なる。40人をこえる死者が出たのは民主化後初めてであるが、それ以上に、南アフリカの政治体制や統治機構に与えた衝撃が大きい。昨日ムーディーズ社は南アフリカの格付けを一段落としてBaa1とした。

 南アフリカの与党であるアフリカ民族会議(ANC)は、正確にいうと、もともとのANCと南アフリカ共産党、それに労働組合組織があわさったANC Allaianceである。1994年に行われたこの国最初の民主選挙に際し、統一会派として登録されたものだ。

カテゴリ: 経済・ビジネス 社会
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執筆者プロフィール
平野克己(ひらのかつみ) 1956年生れ。早稲田大学政治経済学部卒、同大学院経済研究科修了。スーダンで地域研究を開始し、外務省専門調査員(在ジンバブエ大使館)、笹川平和財団プログラムオフィサーを経てアジア経済研究所に入所。在ヨハネスブルク海外調査員(ウィットウォータースランド大学客員研究員)、JETRO(日本貿易振興機構)ヨハネスブルクセンター所長、地域研究センター長などを経て、2015年から理事。『経済大陸アフリカ:資源、食糧問題から開発政策まで』 (中公新書)のほか、『アフリカ問題――開発と援助の世界史』(日本評論社)、『南アフリカの衝撃』(日本経済新聞出版社)など著書多数。2011年、同志社大学より博士号(グローバル社会研究)。
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