日中は「政冷経熱」から「政冷経冷」を経て「政冷経冷文冷」へ

野嶋剛
執筆者:野嶋剛 2012年9月29日

 日中関係は靖国神社参拝問題で小泉首相時代に「政冷経熱」と呼ばれた。民主党政権になって中国経済が次第に冷え込んできたこと、日本企業の対中進出が必ずしも順調でないことなどもあり、日中関係で「熱」かったはずの経済分野にも暗雲が立ちこめてきていたが、今回の反日デモによる日系のデパートや工場に対する群衆の野放図な破壊、焼き打ち、略奪によって、日中はすっかり「政冷経冷」のモードに入ってしまったようだ。

 そんなことを考えていたら、日中関係悪化の影が私自身のところにもだんだんと忍び寄ってきていることを実感させられる出来事が相次いでいる。

 10月下旬に予定されていた中国でのセミナーに講師として招かれていたのだが、主催者側から「都合により延期させて欲しい」との連絡があった。テーマは日中関係ではなく、台湾問題だったが、私を含めて複数の日本人が参加する予定だったので、そのへんが響いたのだろう。

 会社関係でも、シンポジウムの共催を予定していた中国のある雑誌から「今回のイベントではご協力をお願いすることを控えたい」との連絡があった。

 そして、拙著の翻訳本を中国で年末には出版する運びになってたのだが、これも延期しそうな情勢だという情報が入ってきている。

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執筆者プロフィール
野嶋剛
野嶋剛 1968年生れ。ジャーナリスト。上智大学新聞学科卒。大学在学中に香港中文大学に留学。92年朝日新聞社入社後、佐賀支局、中国・アモイ大学留学、西部社会部を経て、シンガポール支局長や台北支局長として中国や台湾、アジア関連の報道に携わる。2016年4月からフリーに。著書に「イラク戦争従軍記」(朝日新聞社)、「ふたつの故宮博物院」(新潮選書)、「謎の名画・清明上河図」(勉誠出版)、「銀輪の巨人ジャイアント」(東洋経済新報社)、「ラスト・バタリオン 蒋介石と日本軍人たち」(講談社)、「認識・TAIWAN・電影 映画で知る台湾」(明石書店)、訳書に「チャイニーズ・ライフ」(明石書店)。
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