「経済改革」を前に身震いする金正恩後継体制(上)「金慶喜」の健康不安

平井久志
執筆者:平井久志 2012年10月11日
カテゴリ: 国際
エリア: 朝鮮半島

 北朝鮮は9月25日に最高人民会議第12期第6回会議を開催したが、準備を進めている「新たな経済管理改善措置」という経済改革措置に関連した議題はなく、まったくの「肩すかし」に終わった。
 最高人民会議は、金正恩(キム・ジョンウン)氏を国防委員会第1委員長に選出し憲法も一部改正した今年4月に続く開催であった。北朝鮮が最高人民会議を年に2回開催するのは、1994年に金日成(キム・イルソン)主席が死亡した以降では、2003年(4月と9月)と2010年(4月と6月)の2回だけであり、異例の開催であった。
 2003年9月の最高人民会議は、同年8月に代議員選挙が行なわれたためのもので、金正日(キム・ジョンイル)総書記を国防委員長に再選し朴奉珠(パク・ポンジュ)氏を首相に選出した。2010年6月の最高人民会議は張成沢(チャン・ソンテク)氏を国防委副委員長に選出し、金英逸(キム・ヨンイル)首相を解任し崔永林(チェ・ヨンリム)首相を選出した。過去に1年に2回最高人民会議が開催された際は、首相の交代や張成沢氏の国防委副委員長就任という重要人事があった。
 多くの北朝鮮ウォッチャーたちは、今回の最高人民会議では、北朝鮮が準備を進めている「新たな経済管理改善措置」に伴う法律の整備などを行なうのではないかと予測した。そして、経済政策の中心にいる崔永林首相がすでに81歳という高齢であるため、経済改革を主導している若手経済官僚と交代する可能性もあるのではという見方も出たが、こうしたことはすべて議題にならなかった。
 今回の最高人民会議には金正恩第1書記が出席したが、経済改革に関連した議題はなく、義務教育期間を11年から12年に延長することと、最高人民会議の予算委員長に郭範基(クァク・ポムギ)党書記を選出するなどの小幅の人事を行なっただけだった。

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執筆者プロフィール
平井久志
平井久志 ジャーナリスト。1952年香川県生れ。75年早稲田大学法学部卒業、共同通信社に入社。外信部、ソウル支局長、北京特派員、編集委員兼論説委員などを経て2012年3月に定年退社。現在、共同通信客員論説委員。2002年、瀋陽事件報道で新聞協会賞受賞。同年、瀋陽事件や北朝鮮経済改革などの朝鮮問題報道でボーン・上田賞受賞。 著書に『ソウル打令―反日と嫌韓の谷間で―』『日韓子育て戦争―「虹」と「星」が架ける橋―』(共に徳間書店)、『コリア打令―あまりにダイナミックな韓国人の現住所―』(ビジネス社)、『なぜ北朝鮮は孤立するのか 金正日 破局へ向かう「先軍体制」』(新潮選書)『北朝鮮の指導体制と後継 金正日から金正恩へ』(岩波現代文庫)など。
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