印中武力衝突50周年に思うこと

執筆者:山田剛 2012年10月14日
カテゴリ: 国際 政治

 10月20日は、国境紛争に端を発したインド・中国両軍による1962年の大規模軍事衝突からちょうど50周年の節目となる。結果は用意周到に軍を展開していた人民解放軍に対しインド軍は総崩れ。これにより今なおインド人中高年の間には中国に対する拭い去りがたい警戒感が残っている。インド国内で見かける「サクラ」「フジ」などの名を冠した「日本風」の中国料理店は、この時に怒った群衆の襲撃を逃れるため慌てて日本料理店を装った名残、と言われている。

 長らく冷え込んだ関係が続いていた印中両国だが、2000年代に入ると急速に関係改善を進め、インド人民党(BJP)・バジパイ政権がつけた道筋を、国民会議派率いる現政権がきちんと継承して結果を出した。

 2005年4月、インドを訪問した温家宝・中国首相は、インド北部シッキム州(旧シッキム王国)に対する領有権の主張を取り下げ、シッキムをインド領と明記した中国の地図をインド側に手渡した。これはインドとしてチベット自治区が中国領であることを確認し、印国内における亡命チベット人の政治活動を許可しないことと引き換えの措置だったのだが(実際は、チベット人は今も比較的自由に印国内で活動しているが)、「尖閣」に対するこの国のすさまじい姿勢を見ると、今では到底信じられない異例の譲歩と言えるかもしれない。

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執筆者プロフィール
山田剛 日本経済研究センター主任研究員。1963年生れ。日本経済新聞社入社後、国際部、商品部などを経て、97年にバーレーン支局長兼テヘラン支局長、2004年にニューデリー支局長。08年から現職。中東・イスラム世界やインド・南アジアの経済・政治を専門とする。著書に『知識ゼロからのインド経済入門』(幻冬舎)などがある。
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