「金正男」はシンガポールで「金慶喜」と会ったのか

平井久志
執筆者:平井久志 2012年10月17日
カテゴリ: 国際 政治
エリア: 朝鮮半島

 朝日新聞が10月16日付で、韓国政府関係者の話として、北朝鮮の金慶喜(キム・ギョンヒ)党政治局員がシンガポールで甥の金正男(キム・ジョンナム)氏と極秘に接触していた可能性が高いと報じた。

 朝日新聞は金慶喜氏のシンガポール訪問は「北朝鮮の医師団の同行が確認されていないことなどから、治療目的ではないとの見方が強まったという」と報じた。

 金慶喜氏の動静については本サイトの「『経済改革』を前に身震いする金正恩後継体制(上)『金慶喜』の健康不安」で報告したように、9月1日から10月7日まで1カ月余にわたって報道がなかった。金慶喜氏は6月7日から7月25日までも公式報道が途絶え、7月25日から9月1日までは活発な活動が報じられた。

 金慶喜氏のシンガポール訪問情報はいずれも韓国のメディアが北京の北朝鮮消息筋の話として報じたが、この「北京の北朝鮮消息筋」は北京駐在の韓国の情報関係者をソースにした報道とみられる。ここでは、金慶喜氏のシンガポール滞在は9月中旬から10月4日までとされる。

 金慶喜氏のシンガポール訪問が金正男氏との極秘会談のためであるなら、この滞在期間は長すぎる。金正男氏との会談が目的なら3、4日あれば十分である。これだけ滞在期間が長いということはやはり健康問題が絡んでいる可能性が高いとみられる。「医師団の同行が確認されていない」のは「確認されていない」だけともいえるし、病状が重篤でなければ医師を同行しなかった可能性もあるとみられる。

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執筆者プロフィール
平井久志
平井久志 ジャーナリスト。1952年香川県生れ。75年早稲田大学法学部卒業、共同通信社に入社。外信部、ソウル支局長、北京特派員、編集委員兼論説委員などを経て2012年3月に定年退社。現在、共同通信客員論説委員。2002年、瀋陽事件報道で新聞協会賞受賞。同年、瀋陽事件や北朝鮮経済改革などの朝鮮問題報道でボーン・上田賞受賞。 著書に『ソウル打令―反日と嫌韓の谷間で―』『日韓子育て戦争―「虹」と「星」が架ける橋―』(共に徳間書店)、『コリア打令―あまりにダイナミックな韓国人の現住所―』(ビジネス社)、『なぜ北朝鮮は孤立するのか 金正日 破局へ向かう「先軍体制」』(新潮選書)『北朝鮮の指導体制と後継 金正日から金正恩へ』(岩波現代文庫)など。
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