田中眞紀子大臣の大学設置不認可は「法治国家の否定」

原英史
執筆者:原英史 2012年11月5日
カテゴリ: 政治
エリア: 日本

 田中眞紀子文部科学大臣が、来年度新設を予定していた3大学について、設置を認めないことを表明した。来春に向けてすでにさまざまな準備を始めていた3大学は大混乱。就任当初から危惧されていた田中大臣の暴走がいよいよ始まった・・ということだろう。

 ただ、本件のどこが暴走なのかは、整理しておいた方がよい。

 新聞報道では、

・大学設置・法人審議会が認可と答申していたのに、これを覆した、

・答申を覆した例は、少なくとも過去30年間なかった、

といった点が強調されている。

 自民党の安倍総裁も「既に決めたことをこんな形で急に変更するのは間違っている」と批判したそうだ。

 だが、こうした手続き論は的を射ていない。

 学校教育法では、

・大学設置の認可権者は、文部科学大臣(第4条)、

・認可の際に、文部科学大臣が大学設置・法人審議会に諮問する(第95条)、

と定められており、「答申どおり決定」というのはこれまでの慣例に過ぎない。

 認可権者たる大臣が自らの判断で答申を覆すことは、制度上は別におかしなことではない。

 問題はむしろ、文部科学大臣の判断が、法令に従った適正なものかどうかだ。

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執筆者プロフィール
原英史
原英史 1966年東京都生れ。東京大学法学部卒、米シカゴ大学院修了。89年通商産業省(現・経済産業省)入省。大臣官房企画官、中小企業庁制度審議室長などを経て、2007年から安倍・福田内閣で行政改革・規制改革担当大臣の補佐官を務める。09年7月退職。株式会社政策工房を設立し、政策コンサルティング業を営む。大阪府・市特別顧問、国家戦略特区ワーキンググループ委員(内閣府)、社会保障審議会年金事業管理部会委員(厚生労働省)を務めるほか、NPO法人万年野党理事、「地方議会を変える国民会議」発起人など。著書に『官僚のレトリック』(2010年、新潮社)、『「規制」を変えれば電気も足りる』(2011年、小学館101新書)、『日本人を縛りつける役人の掟/岩盤規制を打ち破れ』(2014年、小学館)、『国家と官僚』(2015年、祥伝社新書)。
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