米大統領選結果と日本外交の注意点

執筆者:渡部恒雄 2012年11月15日

 オバマ勝利は筆者の予想よりも早く確定した。これはオバマ陣営が接戦州をほとんど取りこぼすことなく着実に勝利したからだが、オバマ陣営の選挙戦略が緻密かつ周到に計画されていたことが、選挙後の米国の様々な検証記事からわかった。また、オバマ大統領の勝利演説の高揚感をみると、一時は落選を覚悟するほどの厳しい選挙であったことも実感できる。接戦州でのマージンは、かなりの僅差であり、選挙運動の仕方や全米での大きな流れ次第では、いくらでも違うシナリオは考えられたからである。

 選挙全体を通じて効果を上げたオバマ陣営の好材料は、やはりGM、クライスラーを救済したという事実と、その恩恵を受けたミシガン、ウィスコンシン、オハイオで、終始優位に戦いを継続していたことだろう。

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執筆者プロフィール
渡部恒雄(わたなべつねお) わたなべ・つねお 笹川平和財団上席研究員。1963年生まれ。東北大学歯学部卒業後、歯科医師を経て米ニュースクール大学で政治学修士課程修了。1996年より米戦略国際問題研究所(CSIS)客員研究員、2003年3月より同上級研究員として、日本の政治と政策、日米関係、アジアの安全保障の研究に携わる。2005年に帰国し、三井物産戦略研究所を経て2009年4月より東京財団政策研究ディレクター兼上席研究員。2016年10月に笹川平和財団に転じ、2017年10月より現職。著書に『大国の暴走』(共著)、『「今のアメリカ」がわかる本』、『2021年以後の世界秩序 ー国際情勢を読む20のアングルー』など。最新刊に『防衛外交とは何か: 平時における軍事力の役割』(共著)がある。
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