予算委員長留任「ポール・ライアン」の新たな挑戦

足立正彦
執筆者:足立正彦 2012年12月3日
カテゴリ: 国際
エリア: 北米

 現在、ワシントンDCではレイムダック会期が招集されており、ブッシュ大型減税の年末の失効と来年1月から強制的な大幅な歳出削減の実施という「財政の崖(“fiscal cliff”)」の回避問題を巡り与野党協議が行なわれている。そうした中、ミット・ロムニー共和党大統領候補の副大統領候補として3カ月近く大統領選挙キャンペーンを懸命に戦ってきたポール・ライアン下院議員(ウィスコンシン州第1区)が米議会に再び戻ってきた。ウィスコンシン州の州法では、連邦下院議員が副大統領候補に指名されても、大統領選挙と同時に連邦下院議員の再選を目指すために連邦下院議員選挙に出馬することが認められている。ライアン下院議員はウィスコンシン州第1区選出連邦下院議員選挙で対抗馬の民主党候補に対し得票率55%を獲得して再選を果たした。

 ライアン下院議員は共和党副大統領候補として「激戦州(“battleground states”)」を中心に大統領選挙キャンペーンを必死に展開してきた。だが、自らの選出州ウィスコンシン州のみならず、オハイオ州、アイオワ州、ミネソタ州などの中西部主要州で勝利することができず、バラク・オバマ大統領の再選を阻止してホワイトハウスを奪還することができなかった。だが、ロムニー候補がライアン下院議員を共和党副大統領候補に指名したことで、共和党の支持基盤、とりわけ、保守派勢力は活性化し、多額の政治献金も行なわれるなど「ライアン効果」によってロムニー候補の選挙キャンペーンは息を吹き返した。また、ライアン下院議員の登場で、政策議論もオバマ大統領のアキレス腱でもあった、オバマ政権下で増大し続けている連邦財政赤字問題や歳出削減の必要性にも大きな焦点が当てられ、共和党支持基盤に新たなエネルギーを注ぐとともに、無党派層の関心を引いたことも事実である。

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執筆者プロフィール
足立正彦
足立正彦 住友商事グローバルリサーチ シニアアナリスト。1965年生れ。90年、慶應義塾大学法学部卒業後、ハイテク・メーカーで日米経済摩擦案件にかかわる。2000年7月から4年間、米ワシントンDCで米国政治、日米通商問題、米議会動向、日米関係全般を調査・分析。06年4月より現職。米国大統領選挙、米国内政、日米通商関係、米国の対中東政策などを担当する。
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