投票の趨勢からエジプト・ムスリム同胞団の「地盤」を探る

池内恵
執筆者:池内恵 2012年12月16日
カテゴリ: 国際
エリア: 中東

 エジプトで新憲法草案への国民投票の第1回投票が12月15日に行われた。エジプトが、手続きに則って新体制設立への敷居を超えられるか否かは、「アラブの春」の成否と、今後の展開を占う、重要な意味を持つ。

投票は地域ごとに二回に分けて行われ、第2回投票は一週間後の12月22日に行われる。

現地メディアが報道する第1回投票の暫定集計【】【2】では、賛成票が4,595,311 (56.50%)、反対票が3,536,838 (43.50%)とされる。新憲法制定を急ぐムルスィー政権が優勢と言える。

投票率は50%を超える見込みで、昨年3月19日に行われた、旧憲法の一部条項を改正する憲法改正案への国民投票の投票率(41%)を大きく上回っている。新憲法案とムルスィー政権に反対するリベラル派が一時抱いていた、ボイコットによって新憲法を葬るという望みはほぼなくなった。

第1回投票は27県(首都カイロ含む)のうち10県で行われた。カイロとアレクサンドリアの二大都市に加え、ダカハリーヤ、シャルキーヤ、ガルビーヤといった下エジプト(ナイル・デルタ地帯)の、人口規模の大きい県を含んでいるため、約5100万人の登録有権者のうち約半数の2500万人が第1回投票の地域に居住しているものと見られる。

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執筆者プロフィール
池内恵
池内恵 東京大学先端科学技術研究センター准教授。1973年生れ。東京大学大学院総合文化研究科地域文化研究専攻博士課程単位取得退学。日本貿易振興機構アジア経済研究所研究員、国際日本文化研究センター准教授を経て、2008年10月より現職。著書に『現代アラブの社会思想』(講談社現代新書、2002年大佛次郎論壇賞)、『イスラーム世界の論じ方』(中央公論新社、2009年サントリー学芸賞)、『イスラーム国の衝撃』(文春新書)、本誌連載をまとめた『中東 危機の震源を読む』などがある。個人ブログ「中東・イスラーム学の風姿花伝」(http://ikeuchisatoshi.com/)。
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