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大韓航空機撃墜事件「オトリ偵察」説の裏にナゾの米国人スパイ

春名幹男
執筆者:春名幹男 2012年12月18日
カテゴリ: 国際 外交・安全保障

 1983年9月1日、ニューヨーク発ソウル行き大韓航空007便のジャンボ機がサハリン上空で旧ソ連軍戦闘機に撃墜され、乗客・乗員269人(うち日本人27人)全員が死亡した、あの事件から来年でちょうど30年になる。

 大韓航空機がソ連領空を侵犯したのは単なる「航法ミス」だったのか、それとも「オトリの偵察」が目的だったのか――東西冷戦のさなかに起きた怪事件の真相は今なお解明されたとは言い難い。

 

「新事実」はKGBトップの議事録から

 1983年9月9日、アエロフロート機の不定期便乗り入れ制限など対ソ制裁措置を決めた大韓航空機事件関係閣僚会議。右から安倍晋太郎外相、中曽根康弘首相、後藤田正晴官房長官、谷川和穂防衛庁長官 (C)時事
1983年9月9日、アエロフロート機の不定期便乗り入れ制限など対ソ制裁措置を決めた大韓航空機事件関係閣僚会議。右から安倍晋太郎外相、中曽根康弘首相、後藤田正晴官房長官、谷川和穂防衛庁長官 (C)時事

 しかし、このほど米ウィルソン・センターの「冷戦国際歴史プロジェクト」(CWIHP)が得た文書から新事実が明るみに出た。文書は、当時のソ連国家保安委員会(KGB)と東ドイツ国家保安省(STASI)のトップ同士の議事録。

 米国内の旧ソ連スパイとみられる人物が、大韓機が「偵察」のオトリに使われた経緯に関する米情報をKGBに寄せていた、と当時のKGB副議長が語った、というのだ。

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執筆者プロフィール
春名幹男
春名幹男 1946年京都市生れ。大阪外国語大学(現大阪大学)ドイツ語学科卒業。共同通信社に入社し、大阪社会部、本社外信部、ニューヨーク支局、ワシントン支局を経て93年ワシントン支局長。2004年特別編集委員。07年退社。名古屋大学大学院教授を経て、現在、早稲田大学客員教授。95年ボーン・上田記念国際記者賞、04年日本記者クラブ賞受賞。著書に『核地政学入門』(日刊工業新聞社)、『ヒバクシャ・イン・USA』(岩波新書)、『スクリュー音が消えた』(新潮社)、『秘密のファイル』(新潮文庫)、『スパイはなんでも知っている』(新潮社)などがある。
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