フランス富裕税逃れ「ドパルデューよ、お前もか」

国末憲人
執筆者:国末憲人 2012年12月19日
エリア: ヨーロッパ

 フランスのオランド政権が導入を計画している富裕税を逃れようと、税率の低い近隣諸国に住所を移す金持ちたちが後を絶たない。高級ブランド世界最大手のグループ「LVMH」(モエ ヘネシー・ルイ ヴィトン)の総帥ベルナール・アルノー氏がベルギー国籍取得を目指して顰蹙を買ったのは、9月21日の本欄「『ブランドの帝王』ベルギー国籍申請の怪しさ」で報告したが、今度はこれと比べものにならない大物だ。国民的俳優ジェラール・ドパルデュー氏がベルギーに引っ越ししたというのである。

 その引っ越し先は、ネシャンという小さな村である。フランス国境からわずか1キロのところに位置し、仏北部の大都市ルーベと近接している。村で話されているのはフランス語であり、欧州内の自由な往来を定めたシェンゲン協定に両国とも参加しているから、フランス側とネシャン村との間には、検問も税関もない。お隣に出かけるのと、何ら変わらない。

 しかし、そこがベルギー領内であるのは否定できない事実である。だから、オランド政権が年間100万ユーロ(約1億円)を超える所得に対して課そうとしている75%の富裕税も、ここでは無縁だ。ルモンド紙によると、ドパルデュー氏は12月7日、この村にある元税関事務所の建物を80万ユーロで取得した。ごく平凡に見える家だが、庭と広いプールが付いており、ドパルデュー氏は1年の半分をここで過ごす予定だという。

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執筆者プロフィール
国末憲人
国末憲人 1963年生れ。85年大阪大学卒。87年パリ第2大学新聞研究所を中退し朝日新聞社に入社。富山、徳島、大阪、広島勤務を経て2001-04年パリ支局員。外報部次長の後、07-10年パリ支局長を務め、GLOBE副編集長、本紙論説委員のあと、現在はGLOBE編集長。著書に『自爆テロリストの正体』(新潮新書)、『サルコジ―マーケティングで政治を変えた大統領―』(新潮選書)、『ポピュリズムに蝕まれるフランス』『イラク戦争の深淵』(いずれも草思社)、『ポピュリズム化する世界』(ダイヤモンド社)、共著書に『テロリストの軌跡―モハメド・アタを追う―』(草思社)などがある。
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