歯車が狂い始めたソニーの対米戦略

2004年10月号
カテゴリ: 経済・ビジネス

 ソニーが米国事業テコ入れを目的に、ウォルマートや会員制卸売業のコストコ・ホールセールと本格的な取引を始める。ソニーは米国で高級機種を扱う家電専門店を中心に販路を築いてきたが、二〇〇四年三月期の米国での売上高が対前期比一%増と伸び悩んでいる。そこで、大手ディスカウントチェーンの力を借りる方針だ。 ディスカウントチェーンと手を組むことで、北米ビジネスの新たな有望分野となりつつある中南米系マーケットにも進出できる。 しかし、業界関係者の間では「デルや、家電に本格参入したヒューレット・パッカードとの価格競争に巻き込まれる」(大手家電幹部)と、戦略転換のリスクを指摘する声も多い。かつて北米のパソコン商戦では、東芝が値引き合戦に巻き込まれて巨額の赤字を計上。ソニー自身も過剰在庫に苦しんだ経緯がある。「日本メーカーは米国で、数量を追うより付加価値をつけて利益を稼ぐことの方が重要だと学んだのではなかったか」(別の大手家電幹部)。「どこか歯車が狂っている」(電機アナリスト)――。そんな懸念も高まる中、関係者たちはこのソニーの新戦略を固唾を呑んで見守っている。

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