政治をゼロから考える
政治をゼロから考える(14)

「日銀の独立性」とは何か

宇野重規
執筆者:宇野重規 2013年2月4日
エリア: 日本

質問 「日銀の独立性が問題になっているのは、なぜですか」

 

 日本銀行の独立性が問題になっています。日銀は先日、物価上昇率を「前年比2%」とする目標(インフレ・ターゲット)の導入を決めましたが、これは政府からの強い要請を受けてのものでした。

 日銀にさらなる金融緩和を求める安倍晋三政権に対し、日銀の独立性を損なうものではないかという声が日本国内のみならず、海外からも聞こえるようになっています。

 このような声に対し安倍首相は、ダボス会議に中継で参加した際に、政府と日銀の間で意志を共有することが重要であって、「(日銀の)独立性はいささかも揺らいでいない」と答えています。

 

デフレ経済と日銀の責任

 もちろん、一国の金融政策について、政府と中央銀行の間に十分なコミュニケーションがなされていることは必須でしょう。その限りにおいて両者の間で意志の擦り合わせが行なわれたことそれ自体が問題であるわけではありません。

 とはいえ、日銀法改正をちらつかせての要請の結果ですから、日銀の独立性が十分に保持されているかについては、疑問が残ります。

 これに対し、安倍首相、および安倍首相の姿勢を支持する人々にすれば、何よりも問題なのは、いまだに日本経済がデフレを脱却できない点にあります。にもかかわらず、日銀の金融緩和への姿勢があまりに消極的であるとすれば、デフレを脱却できない責任は日銀にあるということになります。

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執筆者プロフィール
宇野重規
宇野重規 1967年生れ。1996年東京大学大学院法学政治学研究科博士課程修了。博士(法学)。東京大学社会科学研究所教授。専攻は政治思想史、政治哲学。著書に『政治哲学へ―現代フランスとの対話』(東京大学出版会、渋沢・クローデル賞ルイ・ヴィトン特別賞)、『トクヴィル 平等と不平等の理論家』(講談社、サントリー学芸賞)、『〈私〉時代のデモクラシー』(岩波新書)、共編著に『希望学[1]』『希望学[4]』(ともに東京大学出版会)などがある。
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