危機管理は「NSC」待たず「シチュエーションルーム」新設で

春名幹男
執筆者:春名幹男 2013年2月3日
カテゴリ: 外交・安全保障

 アルジェリア人質事件を受けて、安倍政権内では危機管理に対応する、日本版の国家安全保障会議(NSC)の創設を検討するようだ。

 1月30日の衆院本会議代表質問で、高村正彦自民党副総裁の質問に答えて、安倍晋三首相は「海外で邦人が安心して活動できるように政府一丸となって必要な対策に迅速に取り組んでいく。国家安全保障会議のあるべき姿について検討の上、設置に向けて積極的に取り組み、官邸の司令塔機能を強化していく」と答えた。

 この答弁から判断すると、安倍首相は確かに、今度のような事件に対して、迅速に取り組む機関として国家安全保障会議を考えていると思われる。

 しかし、もし米国を手本にしたNSCの創設を考えているのだとすれば、NSCにそうした機能を求めるのは、少し違うのではないか。

 今度の事件では、情報を迅速に入手して分析し、可能な限り速く的確な対応策を決める必要があった。NSCも、そのような局面に出くわすこともあるだろう。しかし、本来NSCは国家の基本戦略や政策を決定する機関である。

 今度のような事件に対応する危機管理は、ホワイトハウスではシチュエーションルーム(緊急司令室)で行なわれている。例えば、2011年5月、米特殊部隊がパキスタン国内のオサマ・ビン・ラディンの隠れ家を急襲した時、オバマ大統領以下の外交・安保チームが集まったのはシチュエーションルームだった。

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執筆者プロフィール
春名幹男
春名幹男 1946年京都市生れ。大阪外国語大学(現大阪大学)ドイツ語学科卒業。共同通信社に入社し、大阪社会部、本社外信部、ニューヨーク支局、ワシントン支局を経て93年ワシントン支局長。2004年特別編集委員。07年退社。名古屋大学大学院教授を経て、現在、早稲田大学客員教授。95年ボーン・上田記念国際記者賞、04年日本記者クラブ賞受賞。著書に『核地政学入門』(日刊工業新聞社)、『ヒバクシャ・イン・USA』(岩波新書)、『スクリュー音が消えた』(新潮社)、『秘密のファイル』(新潮文庫)、『スパイはなんでも知っている』(新潮社)などがある。
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