北朝鮮「それでも核実験強行」の論理(上)厳しかった安保理決議

執筆者:平井久志 2013年2月5日
エリア: アジア
 「重要な結論を下した」と報じられた金正恩第1書記 (C)AFP=時事
「重要な結論を下した」と報じられた金正恩第1書記 (C)AFP=時事

 北朝鮮は、国連安全保障理事会の北朝鮮への制裁強化決議に反発し、1月23日に外務省声明を出し、「核抑止力を含む自衛的な軍事力を質量的に拡大、強化する任意の物理的対応措置を取ることになるであろう」と核実験実施を示唆した。これに続いて同24日には国防委員会声明を発表し「米国などの敵視策動を粉砕する全面対決戦に突入する」とし「高い水準の核実験」を行なうことを明言した。

 北朝鮮は続いて同25日に祖国平和統一委員会声明を出し、「南朝鮮のかいらい逆賊一味が国連の『制裁』に直接的に加担する場合、強力な物理的対応措置が取られることになるであろう」と韓国への「強力な物理的対応措置」を警告した。翌日の同26日に党機関紙「労働新聞」は「他の選択はない」と題された「政論」を掲載し、北朝鮮には核実験強行以外に選択の道はないと主張した。

フォーサイト最新記事のお知らせを受け取れます。
執筆者プロフィール
平井久志(ひらいひさし) ジャーナリスト。1952年香川県生れ。75年早稲田大学法学部卒業、共同通信社に入社。外信部、ソウル支局長、北京特派員、編集委員兼論説委員などを経て2012年3月に定年退社。現在、共同通信客員論説委員。2002年、瀋陽事件報道で新聞協会賞受賞。同年、瀋陽事件や北朝鮮経済改革などの朝鮮問題報道でボーン・上田賞受賞。 著書に『ソウル打令―反日と嫌韓の谷間で―』『日韓子育て戦争―「虹」と「星」が架ける橋―』(共に徳間書店)、『コリア打令―あまりにダイナミックな韓国人の現住所―』(ビジネス社)、『なぜ北朝鮮は孤立するのか 金正日 破局へ向かう「先軍体制」』(新潮選書)『北朝鮮の指導体制と後継 金正日から金正恩へ』(岩波現代文庫)など。
  • 24時間
  • 1週間
  • f
back to top