朝鮮労働党「細胞書記大会」でわかった「権力乱用と官僚主義」

平井久志
執筆者:平井久志 2013年2月4日
エリア: 朝鮮半島

 北朝鮮は1月28、29両日、平壌で朝鮮労働党第4回細胞書記大会を開催した。労働党はこれに先立つ1月23日に政治局会議を開催し、同28日に細胞書記大会を開催することを決定した。「細胞」というのは共産党組織の最末端組織で、各職場や地域で数人から20人程度で構成され、細胞書記はその責任者である。これまでは1991年5月、1994年3月、2007年10月に開催された。党政治局は今回の大会を第4回とし、細胞書記大会を「制度化する」としていることから、今後は定期的に開催される可能性がある。

 金正恩(キム・ジョンウン)第1書記は細胞書記大会を1万人規模で開催することは金正日(キム・ジョンイル)総書記の「遺訓」であったと開会の辞で明らかにした。

 今回の党細胞書記大会では金正恩氏が開会の辞、演説、閉会の辞と3回にわたって演説し、この会議を重要視していることを示した。

 金正恩氏は演説で昨年12月の人工衛星打ち上げに言及した後に「今はもうわれわれが帝国主義者との対決で主導権を確固として握るようになり」と指摘し、人工衛星打ち上げを帝国主義との対決の一環と位置付けた。核実験についての言及はなかった。

 金正恩氏は演説で「人民に奉仕する」ことを強調し「権力をふるい、官僚主義的にふるまう者こそ、わが党が断固と戦うべき主な闘争対象である」と党の官僚主義を激しく批判した。「党が権力乱用と官僚主義をなくすことについて強調すると、思想闘争会議を開いて幾人かの幹部を処分するにとどまり、幹部を革命化する活動を根気よく行なっていない」と党の姿勢を批判した。その上で党が大衆の中に入れと党員の尻を叩いた金正恩氏は、「細胞書記は、老練な大衆活動方法を身につけなければならず、大衆の前で踊りもおどり、歌もうたい、アジ演説もできる万能家になるべきだ」と具体的な注文までした。

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執筆者プロフィール
平井久志
平井久志 ジャーナリスト。1952年香川県生れ。75年早稲田大学法学部卒業、共同通信社に入社。外信部、ソウル支局長、北京特派員、編集委員兼論説委員などを経て2012年3月に定年退社。現在、共同通信客員論説委員。2002年、瀋陽事件報道で新聞協会賞受賞。同年、瀋陽事件や北朝鮮経済改革などの朝鮮問題報道でボーン・上田賞受賞。 著書に『ソウル打令―反日と嫌韓の谷間で―』『日韓子育て戦争―「虹」と「星」が架ける橋―』(共に徳間書店)、『コリア打令―あまりにダイナミックな韓国人の現住所―』(ビジネス社)、『なぜ北朝鮮は孤立するのか 金正日 破局へ向かう「先軍体制」』(新潮選書)『北朝鮮の指導体制と後継 金正日から金正恩へ』(岩波現代文庫)など。
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