北朝鮮「それでも核実験強行」の論理(下)中国を睨んだ「瀬戸際外交」

平井久志
執筆者:平井久志 2013年2月6日
エリア: 朝鮮半島

 党機関紙「労働新聞」など北朝鮮メディアは2月3日、党中央軍事委員会の拡大会議が開催され、金正恩(キム・ジョンウン)第1書記・党中央軍事委員長が「国の安全と自主権を守っていくうえで綱領的な指針となる重要な結論」を下したと報じた。「重要な結論」の内容は明らかにされていないが核実験を強行することを最終決定したとみられる。

 拡大会議では「朝鮮労働党の先軍革命指導に忠実に従って軍事力の強化に一大転換をもたらすことに関する問題と組織問題」が討議された。

 北朝鮮はこれまで党中央軍事委員会で決定した人事などを公表したことはあるが、こうした会議の討議内容が報道されることは極めて異例だ。党の優位性を示して政権基盤を固めようとしている金正恩第1書記が、外交・安保分野の幹部協議会に続いて、党の軍事路線を決定する最高機関である党中央軍事委員会を開催し核実験実施を決定することで、核実験実施を党の機関決定とし、自らの指導力を誇示する狙いとみられる。

 拡大会議では「組織問題」も協議されたが、内容は明らかにならなかった。北朝鮮での「組織問題」とは人事を意味するが、これは最近人民武力部長に就任した金格植(キム・ギョクシュク)大将を党中央軍事委員会のメンバーにする決定を下した可能性が高い。党中央軍事委員会は金正恩第1書記が委員長を務め、崔龍海(チェ・リョンヘ)軍総政治局長と玄永哲(ヒョン・ヨンチョル)総参謀長が副委員長だが、軍部のトップ3の1人である金格植人民武力部長が副委員長か委員に就任した可能性がある。

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執筆者プロフィール
平井久志
平井久志 ジャーナリスト。1952年香川県生れ。75年早稲田大学法学部卒業、共同通信社に入社。外信部、ソウル支局長、北京特派員、編集委員兼論説委員などを経て2012年3月に定年退社。現在、共同通信客員論説委員。2002年、瀋陽事件報道で新聞協会賞受賞。同年、瀋陽事件や北朝鮮経済改革などの朝鮮問題報道でボーン・上田賞受賞。 著書に『ソウル打令―反日と嫌韓の谷間で―』『日韓子育て戦争―「虹」と「星」が架ける橋―』(共に徳間書店)、『コリア打令―あまりにダイナミックな韓国人の現住所―』(ビジネス社)、『なぜ北朝鮮は孤立するのか 金正日 破局へ向かう「先軍体制」』(新潮選書)『北朝鮮の指導体制と後継 金正日から金正恩へ』(岩波現代文庫)など。
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