環境省が歩む「環境税」導入の険しき道のり

2004年10月号
エリア: 日本

〈地球温暖化対策を推進するため、環境税(仮称)の創設等、必要な税制上の措置を講ずること〉 八月三十日、環境省がついに「環境税」の創設に動いた。財務省に提出した二〇〇五年度の税制改正要望に、冒頭の一項を盛り込んだのだ。かねてより必要性が指摘されてきた温暖化対策税だが「熟柿が落ちた」とは言い難い。むしろ、台風で収穫前に木から落ちた青い林檎の未熟さを感じさせる。 通常、税制改正要望には、ある程度の制度の骨格が想定されているものだ。しかし、今回はそれが全く触れられていない「白紙状態」。次年度以降の税制改正の政府原案は年末までに決定されるが、「八月末時点で制度の概要が固まっていないものは現実味に乏しい」(政府関係者)。それでも関係者の間では、年末にかけて税制論議の争点になると見られている。 背景には、日本が議長としてまとめた京都議定書の存在がある。この国際条約で、日本はCO2など温室効果ガスの排出を一九九〇年比で六%削減するという目標を設定した。だが、目標達成義務が発生する二〇〇八年を前に達成が困難になりつつあるのだ。 環境税の主な対象は、温暖化の原因となる炭素を出す化石燃料。税率は環境への負荷の大きさに準じるが、環境省はガソリン一リットルあたりで約二円、年間で約一兆円の税収が得られるという試案をまとめたこともある。炭素の含有量を基準に税を導入する場合、税率が高い順から石炭、石油、天然ガスとなり、逆に原子力や自然エネルギー(太陽光発電や風力発電など)は免税されることになる。消費者が特に環境保全を意識しなくとも、経済的に安い商品を選んでいけば、自然に環境保全型の行動に誘導されていく仕組だ。

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