塀の中の執務室

執筆者:名越健郎 2004年10月号
エリア: 中東

 ヨルダン川西岸のパレスチナ自治区では、イスラエルによる6―8メートルの防護壁が突貫工事で建設中だ。インティファーダ(反イスラエル民衆蜂起)に出撃するパレスチナ人テロリストを封じ込めるのが目的。 これによって、イスラエルでのテロは激減したが、壁の中に閉じ込められるパレスチナ人の閉塞感も大変なものだ。壁の外に出るには、イスラエル当局の厳重な検問を通過する必要があり、長蛇の列ができる。 しかし、パレスチナ人は中東有数のジョークの達人。「壁の中」ではイスラエルを皮肉るジョークで憂さを晴らしている。 英国人、フランス人、イスラエル人、パレスチナ人が乗った旅客機が突然、墜落し始めた。機長が叫んだ。「重量オーバーです。どなたか犠牲になってください」。

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執筆者プロフィール
名越健郎(なごしけんろう) 1953年岡山県生まれ。東京外国語大学ロシア語科卒業。時事通信社に入社、外信部、バンコク支局、モスクワ支局、ワシントン支局、外信部長、編集局次長、仙台支社長を歴任。2011年、同社退社。拓殖大学海外事情研究所教授。国際教養大学特任教授を経て、2022年から拓殖大学特任教授。著書に、『秘密資金の戦後政党史』(新潮選書)、『ジョークで読む世界ウラ事情』(日経プレミアシリーズ)、『独裁者プーチン』(文春新書)など。
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