国際論壇レビュー
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尖閣問題・北朝鮮核実験・アベノミクスで世界が固唾を飲む東アジア情勢

会田弘継

 尖閣諸島をめぐる日中の紛争では、日本の海上自衛隊の護衛艦とヘリコプターに対し中国海軍フリゲート艦が射撃管制レーダーを照射して交戦一歩手前に至る一方、北朝鮮は3度目の核実験を強行、東アジアはますますキナ臭くなってきた。他方、急激な円安を引き起こしている日本の安倍晋三政権の経済政策「アベノミクス」に対し、一部の国々は「通貨安戦争」につながらないかという懸念を抱いている。世界は今、東アジアの動きを、固唾を飲んで見守っている。

 

「日本側に引き込まれる」ことを警戒する豪の論調

 無人島をめぐっての紛糾から世界第2と第3の経済大国が戦火を交えるようなことになったとしても、それに巻き込まれるのはご免だ。オーストラリアでは、そんな議論が真剣に交わされている。日中が軍事衝突を起こし、そこへ米国が介入した余波で、同盟の義務から紛争に引き込まれてはたまらない――と、いうわけだ。豪紙「ジ・エージ」は、そんな警告を発するメルボルン大学の国際政治学教授の寄稿を載せた。【A dangerous tug of war, The Age, Feb. 15】

 教授は言う。いまや、日本はオーストラリアにとって米国、イギリス、ニュージーランドに次ぐ「戦略パートナー」になっている。オーストラリア国民はあまり意識していないだろうが、防衛協力・情報共有で合意ができているほか、この1月には物品役務相互提供協定も発効した。日豪の防衛協定や米豪同盟のために「わが国の2大貿易相手国のばかげた危険な紛争で、日本の側に引き込まれないだろうか」と寄稿は問い掛け、「政府は、紛争の交渉による解決を促すだけでなく、この半世紀で最もナショナリズム色が強い日本の政権の軍事行動を支持するようなことは避ける必要がある」と訴えている。

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執筆者プロフィール
会田弘継
会田弘継 青山学院大学地球社会共生学部教授、共同通信客員論説委員。1951年生れ。東京外国語大学英米科卒。共同通信ジュネーブ支局長、ワシントン支局長、論説委員長などを歴任。2015年4月より現職。著書に本誌連載をまとめた『追跡・アメリカの思想家たち』(新潮選書)、『戦争を始めるのは誰か』(講談社現代新書)、訳書にフランシス・フクヤマ『アメリカの終わり』(講談社)などがある。
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