尖閣で台湾が「中国と協力しない3つの理由」

野嶋剛
執筆者:野嶋剛 2013年2月24日
カテゴリ: 外交・安全保障
エリア: 中国・台湾

 台湾の馬英九総統が先週、尖閣諸島問題において「中国と協力しない3つの理由」を明らかにした。面白かったので分析を試みたい。馬英九は台湾人の中国ビジネスマン「台商」たちの前でこんな風に話したという。

 1、中国共産党は日華平和条約を否定している。

2、馬政権が提案した東シナ海平和イニシアチブを中国共産党は一切無視している。

3、中国共産党が、台湾が日本と主権問題や漁業問題を議論することに反対している。

 1については、やや分かりづらかったのか、台湾内でもいろいろな形で議論されてしまい、外交部のスポークスマンが「補充」の説明を行なっている。それによれば、日清戦争の末に結ばれた下関条約は尖閣諸島を含めた台湾を日本に割譲したもので、ポツダム宣言とカイロ宣言で日本は占領した中国の領土を中華民国政府に返さなくてはならない。これが台湾(中華民国)が尖閣諸島の領有権を主張する根拠であり、中国共産党が日華平和条約を否定している以上、協力できないという論理だ。

 中華民国の立場に立てば、それはそういうことなのかも知れない。ただ、日華平和条約がすでに日中国交正常化に伴う日本側の終了宣言によって実効性を失っており、中国側にこれを求めるのはどだい無理な話である。

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執筆者プロフィール
野嶋剛
野嶋剛 1968年生れ。ジャーナリスト。上智大学新聞学科卒。大学在学中に香港中文大学に留学。92年朝日新聞社入社後、佐賀支局、中国・アモイ大学留学、西部社会部を経て、シンガポール支局長や台北支局長として中国や台湾、アジア関連の報道に携わる。2016年4月からフリーに。著書に「イラク戦争従軍記」(朝日新聞社)、「ふたつの故宮博物院」(新潮選書)、「謎の名画・清明上河図」(勉誠出版)、「銀輪の巨人ジャイアント」(東洋経済新報社)、「ラスト・バタリオン 蒋介石と日本軍人たち」(講談社)、「認識・TAIWAN・電影 映画で知る台湾」(明石書店)、訳書に「チャイニーズ・ライフ」(明石書店)。
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