フォークランド紛争と尖閣問題――「施政方針演説」の問題点

 2月28日の国会での施政方針演説で安倍総理は、フォークランド紛争における英国サッチャー元首相の発言を引用し、「海における法の支配」に則り、「『力の行使による現状変更』は何も正当化しないことを、国際社会に対して訴えたい』」と、尖閣諸島など領土主権をめぐる政府の姿勢を強調した。

 引用の経緯を翌1日付東京新聞は、原稿の起草段階で「武力衝突も辞さないという強硬姿勢と誤解される」「あまりに過激だ」と周辺が懸念を示したが、フォークランド紛争において毅然と決断した元首相の姿に感銘した総理は譲らなかった、と伝えている。【http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2013030102000128.html

カテゴリ: 軍事・防衛
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執筆者プロフィール
遅野井茂雄(おそのいしげお) 筑波大学名誉教授。1952年松本市生れ。東京外国語大学卒。筑波大学大学院修士課程修了後、アジア経済研究所入所。ペルー問題研究所客員研究員、在ペルー日本国大使館1等書記官、アジア経済研究所主任調査研究員、南山大学教授を経て、2003年より筑波大学大学院教授、人文社会系長、2018年4月より現職。専門はラテンアメリカ政治・国際関係。主著に『試練のフジモリ大統領―現代ペルー危機をどう捉えるか』(日本放送出版協会、共著)、『現代ペルーとフジモリ政権 (アジアを見る眼)』(アジア経済研究所)、『ラテンアメリカ世界を生きる』(新評論、共著)、『21世紀ラテンアメリカの左派政権:虚像と実像』(アジア経済研究所、編著)、『現代アンデス諸国の政治変動』(明石書店、共著)など。
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