カール・ローヴvs.「経済成長クラブ」――米共和党内の路線対立が表面化

執筆者:足立正彦 2013年3月5日
エリア: 北米

 共和党内において依然として大きな影響力を持つ元ホワイトハウス高官の政治コンサルタントと保守派団体指導者らとの間で、今後共和党が進むべき方向を巡っての対立が表面化してきている。対立のきっかけとなったのは、ジョージ・W.ブッシュ大統領の大統領選挙キャンペーンを指揮して大統領選挙での2度の勝利に大きく貢献した共和党系政治コンサルタントのカール・ローヴが率いる政治団体の、2014年中間選挙に向けた新たな取り組み方針である。

 ジョージ・W.ブッシュ政権で大統領上級顧問(政治担当)兼大統領次席補佐官としてホワイトハウスで絶大な影響力を誇っていたローヴは、来年11月に行なわれる中間選挙を視野に入れ、自らが率いる政治団体「コンサーバティブ・ヴィクトリー・プロジェクト(Conservative Victory Project)」の活動強化を図りつつある。同団体の目的は、共和党予備選挙で高い資質を持った候補を支援し、連邦議会本選挙で民主党候補に勝利して共和党の議席拡大を図ることであり、最近、莫大な資産を持つ共和党系の政治資金提供者(ドナー)の支援を受け、2014年中間選挙で勝利できる候補の選定のテコ入れを図る方針を明らかにしたのである。こうした「コンサーバティブ・ヴィクトリー・プロジェクト」の動きに対し、保守候補を擁立して共和党の保守化を推進しようとする保守派団体の指導者らから強い反発が起こっている。

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執筆者プロフィール
足立正彦(あだちまさひこ) 住友商事グローバルリサーチ株式会社シニアアナリスト。1965年生まれ。90年、慶應義塾大学法学部卒業後、ハイテク・メーカーで日米経済摩擦案件にかかわる。2000年7月から4年間、米ワシントンDCで米国政治、日米通商問題、米議会動向、日米関係全般を調査・分析。06年4月より、住友商事グローバルリサーチにて、シニアアナリストとして米国大統領選挙、米国内政、日米通商関係、米国の対中東政策などを担当し、17年10月から米州住友商事ワシントン事務所に勤務、20年4月に帰国して現職。
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