尖閣問題が呼び起こす中国「抗日映画」ブーム

執筆者:野嶋剛 2013年3月6日
エリア: アジア

 日中が領有権を主張しあう尖閣諸島情勢は軍機や軍船が周辺海域で張り合い、きな臭いムードが漂う。中国国内では「戦いに備えよ」といった勇ましい議論すら広がっている。そんななか、中国では映画やドラマで「抗日」作品ブームが起きているという。尖閣諸島問題が呼び起こす世相とも言える動きだが、抗日作品の洪水でいっそう反日気分がかき立てられる恐れもある。

 

 「1日で8回殺された」

 抗日映画で日本への憎しみが再生産されるのか(昨年9月、上海の反日デモ)(C)時事
抗日映画で日本への憎しみが再生産されるのか(昨年9月、上海の反日デモ)(C)時事

 中国最大の撮影スタジオ、横店影視城。浙江省東陽市横店鎮にあり、「チャイナ・ハリウッド」とも呼ばれる。上海から車で1時間と近く、映画テーマパークとして大勢の観光客も受け入れている。

カテゴリ: カルチャー
フォーサイト最新記事のお知らせを受け取れます。
執筆者プロフィール
野嶋剛(のじまつよし) 1968年生れ。ジャーナリスト。上智大学新聞学科卒。大学在学中に香港中文大学に留学。92年朝日新聞社入社後、佐賀支局、中国・アモイ大学留学、西部社会部を経て、シンガポール支局長や台北支局長として中国や台湾、アジア関連の報道に携わる。2016年4月からフリーに。著書に『イラク戦争従軍記』(朝日新聞社)、『ふたつの故宮博物院』(新潮選書)、『謎の名画・清明上河図』(勉誠出版)、『銀輪の巨人ジャイアント』(東洋経済新報社)、『ラスト・バタリオン 蒋介石と日本軍人たち』(講談社)、『認識・TAIWAN・電影 映画で知る台湾』(明石書店)、『台湾とは何か』(ちくま新書)、『タイワニーズ 故郷喪失者の物語』(小学館)、『なぜ台湾は新型コロナウイルスを防げたのか』(扶桑社新書)など。訳書に『チャイニーズ・ライフ』(明石書店)。最新刊は『香港とは何か』(ちくま新書)。公式HPは https://nojimatsuyoshi.com
  • 24時間
  • 1週間
  • f
back to top