韓国新政権を読む(上)「閣僚不在」苦難のスタート

執筆者:平井久志 2013年3月7日
エリア: アジア
 2月25日、ソウルで行なわれた就任式で宣誓する朴槿恵韓国大統領 (C)EPA=時事
2月25日、ソウルで行なわれた就任式で宣誓する朴槿恵韓国大統領 (C)EPA=時事

 朴槿恵(パク・クネ)氏が2月25日、韓国の第18代大統領に就任した。韓国で初めての女性大統領であり、故朴正煕(パク・チョンヒ)大統領を父に持つ韓国史上初めての父娘大統領の誕生だった。

 朴槿恵氏は昨年12月19日の大統領選挙で民主統合党の文在寅(ムン・ジェイン)候補に約108万票の差をつけて勝利した。朴槿恵大統領は李明博(イ・ミョンバク)政権の5年間を見ながら、国民の間で広がる格差や将来への不安などをくみ取り、これまでは進歩勢力が主張していた「福祉」「格差の是正」「中間層の復権」などを公約に取り込み、政権獲得に成功した。外交安保政策でも北朝鮮強硬論一辺倒で終わった李明博政権の失敗を見て、強力な安保体制の構築とともに、北朝鮮との信頼を積み上げるという対話姿勢を示した。

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執筆者プロフィール
平井久志(ひらいひさし) ジャーナリスト。1952年香川県生れ。75年早稲田大学法学部卒業、共同通信社に入社。外信部、ソウル支局長、北京特派員、編集委員兼論説委員などを経て2012年3月に定年退社。現在、共同通信客員論説委員。2002年、瀋陽事件報道で新聞協会賞受賞。同年、瀋陽事件や北朝鮮経済改革などの朝鮮問題報道でボーン・上田賞受賞。 著書に『ソウル打令―反日と嫌韓の谷間で―』『日韓子育て戦争―「虹」と「星」が架ける橋―』(共に徳間書店)、『コリア打令―あまりにダイナミックな韓国人の現住所―』(ビジネス社)、『なぜ北朝鮮は孤立するのか 金正日 破局へ向かう「先軍体制」』(新潮選書)『北朝鮮の指導体制と後継 金正日から金正恩へ』(岩波現代文庫)など。
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