無視できなくなった一般投資家の「発言力」

2004年11月号
カテゴリ: 国際 経済・ビジネス
エリア: 中国・台湾

 中国の株式市場で一般投資家の力が次第に強まっている。株価低迷に不満を募らせているうえ、投資成績を重視する機関投資家も一部で台頭してきたからだ。「一緒に中小投資家の正義の叫び声を上げよう!」。九月七日、インターネットポータル大手の新浪網と経済誌『今日商報大衆証券週刊』は連名で、宝山鋼鉄の九月二十七日の臨時株主総会で反対票を集める異例の呼び掛けを発した。宝山は新株を発行して二百八十億元(約三千六百四十億円)を調達し、これを原資に親会社・上海宝鋼集団傘下の十数社を買い取ることを計画。その発表直後から、株の需給悪化や買い取る資産内容を不安視する声が株主の間で広がったのである。 中国では上場企業の発行済み株式の六割以上を国や国有法人(宝山の場合は上海宝鋼が八五%)などが「非流通株式」として保有する。そのため個人や株式を中心に投資するファンド会社のような一般投資家の声は経営陣に届きにくい。ところが今回は謝企華・宝山董事長(会長)らが機関投資家詣でを繰り返したほか、買収する企業の見学会を開くなどの異例の措置を余儀なくされた。総会直前には議案の一部修正もしている。 最終的に議案は可決された。しかし棄権・反対票は出席した一般株主の約一割を超え、その中には呼び掛けに応じて新浪網などに反対票を負託した二百六十六の個人株主も含まれる。中国政府としては、こうした動きを無視できない。国有企業・銀行の改革に影響を及ぼしかねないからだ。国有資産監督管理委員会の李栄融主任は、準備の整った大型国有企業数社に宝山のようなグループ再編を促している。中国銀行や中国建設銀行などパイプライン(上場候補)もいっぱいだ。宝山の議案通過は、後続案件のためにも絶対に実現しなければならなかった。

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