【ブックハンティング】官僚の珍妙な論理を冷静に論破した福井節

執筆者:鈴木良男 2004年11月号
カテゴリ: 書評

 保育園に調理室がないと園児がキチッとした大人になれない。 理容師と美容師が同じフロアでヘアカットするとお客に危険が及ぶだけでなく、文化が破壊される。 外国人の永住許可に当たり必要な専門学識の判定は、専門家の見解など聞かず本人の申告だけに基づき入管局職員が行なうが、それは「上に立つ者」の「高度の政治的裁量」である。 株式会社やNPO(民間非営利団体)の学校に私学助成をするのは憲法違反だから絶対に認められないが、個人や宗教法人が「学校法人」になるつもりで作った学校には私学助成ができ、その学校が結局は学校法人になれなくとも、助成は憲法違反ではない。――これらの主張は、政府の公的会議の場で担当官庁のエリート官僚から直接語られたものだ。政府のホームページから誰でも読むことができる。本書『官の詭弁学』(日本経済新聞社)は、評者も議長代理として加わった総合規制改革会議の膨大な公開議事録から珍妙な答弁を抽出したハイライト集であり、著者の福井秀夫氏は政策を支える官僚側の論拠にいかに首尾一貫性がないかを描ききった。 フォーサイトに「情報公開ウォッチング」のタイトルで連載された当時、真っ先に目を通す読者は多かったと聞く。もちろん評者もその一人だった。こうして一冊の書物にまとめられ、詳細なやり取り、分析が加えられたことにより、圧倒的な迫力が備わった。

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