サルコジ前大統領への捜査の「びっくり」と「やっぱり」

国末憲人
執筆者:国末憲人 2013年3月26日
エリア: ヨーロッパ

 フランスの大富豪リリアン・ベタンクールさんの資産を巡る疑惑にからんで、サルコジ前大統領が3月21日、捜査着手に相当する予審開始通告を受け、容疑者として扱われることになった。このできごとは、フランス国内で衝撃を持って受け止められた。1年足らず前まで国家元首だった人物に対して、捜査当局が大胆にも切り込むなどと、誰も思っていなかったからである。一方で、サルコジ氏は以前から財閥や財界との癒着体質が指摘され、「やっぱり」と思った市民も少なくないようだ。サルコジ氏の復帰を期待していた右派政界への影響は小さくない。

 リリアン・ベタンクールさんの膨大な財産を巡る動きは、これまでもしばしばゴシップの対象となってきた。

 ベタンクールさんは化粧品最大手ロレアルの大株主で、創業者の父ウージェンヌ・シュエレール氏から資産を引き継いだ。フォーブス誌の今年のランキングによると、資産総額は300億ドルに達し、世界で9番目、女性としては世界一の富豪にあたる。フランス国内ランキングでも、高級ブランド最大手「LVMH」(モエ ヘネシー・ルイ ヴィトン)の総帥ベルナール・アルノー氏をしのいでトップの座に着いた。

 しかし、なにぶん現在90歳という高齢で、資産の管理能力に疑問が持たれていた。2008年には、「男友達」と称して仲良くなった写真家に10億ユーロ分もの財産を分け与えてしまったことが発覚。実の娘フランソワーズさんが写真家を「高齢による判断能力低下につけ込んだ」として告発する騒ぎになった。

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執筆者プロフィール
国末憲人 1963年岡山県生まれ。85年大阪大学卒業。87年パリ第2大学新聞研究所を中退し朝日新聞社に入社。パリ支局長、論説委員を経て、現在はGLOBE編集長、青山学院大学仏文科非常勤講師。著書に『自爆テロリストの正体』『サルコジ』『ミシュラン 三つ星と世界戦略』(いずれも新潮社)、『ポピュリズムに蝕まれるフランス』『イラク戦争の深淵』『巨大「実験国家」EUは生き残れるのか?』(いずれも草思社)、『ユネスコ「無形文化遺産」』(平凡社)、『ポピュリズム化する世界』(プレジデント社)など。
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