「党の顔」不在の米共和党

足立正彦
執筆者:足立正彦 2013年3月30日
エリア: 北米

 3月中旬から2週間足らず、筆者はワシントンDC、ニューヨークに滞在していたが、米国人のアメリカ政治専門家やアナリストらと議論を重ねる中、最も活発な議論になったテーマは今後の共和党の展望についてであった。共和党は昨年11月に行なわれた大統領選挙でホワイトハウスを奪還するチャンスを逃すとともに、改選期を迎える現職上院議員の数が少ないために当初有利と見られていた連邦上院議員選挙でも、多数党の立場に復帰することに失敗した。また、最新の各種世論調査での議会共和党に対する有権者の支持率も10%台半ばという歴史的低水準を記録してしまっている。本稿では米国滞在中に専門家らとの議論を通じて興味深く感じられた議論を紹介しつつ、共和党の課題、とりわけ、党の「顔」の不在に焦点を当てて考えてみたい。

 共和党が現在抱えている問題点として、意見交換したアメリカ政治専門家らの多くが真っ先に指摘していたのが、共和党を率いていく指導者の不在についてであった。米国では主要政党を率いている指導的立場にある政治家について、「standard-bearer(“旗手”)」という表現がよく用いられる。専門家やアナリストらとの意見交換の中で、「現在の共和党には“standard-bearer”がいないのが最大の問題だ」といった発言が相次いだ。共和党大統領候補として2008年、2012年の大統領選挙でそれぞれホワイトハウスを目指したが、バラク・オバマ大統領に敗北を喫したジョン・マケイン上院議員(アリゾナ州)とミット・ロムニー前マサチューセッツ州知事は、もはや共和党を最前線で率いていく立場にはない。議会共和党に目を転じても、ジョン・ベイナー下院議長(オハイオ州第8区)は、保守路線に固執する姿勢を鮮明にしているティーパーティー(茶会党)支援勢力の支持を受けた保守派の若手議員の反発に直面している。そのため、ベイナーは下院共和党を1つにまとめることすらできず、第113議会でも下院議長としての「脆弱さ」を露わにしている。

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執筆者プロフィール
足立正彦
足立正彦 住友商事グローバルリサーチ シニアアナリスト。1965年生れ。90年、慶應義塾大学法学部卒業後、ハイテク・メーカーで日米経済摩擦案件にかかわる。2000年7月から4年間、米ワシントンDCで米国政治、日米通商問題、米議会動向、日米関係全般を調査・分析。06年4月より現職。米国大統領選挙、米国内政、日米通商関係、米国の対中東政策などを担当する。
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