「シリアとの関連」で読み解くオバマ中東歴訪――安倍首相もヨルダン訪問を

執筆者:渡部恒雄 2013年4月2日
カテゴリ: 国際 外交・安全保障
エリア: 中東 北米

 オバマ大統領のイスラエル・中東訪問は、期待値のバーを下げた中で行なわれた。期待も大きくないかわりに、失望もないという戦略だ。米国内の報道も、どうせ変わらないだろう、というシニカルな見方が多かった。だからといって、今回の訪問が外交的に意味がなかったと考えるのは間違いだ。外交というのは、地道な積み上げが意味を持つこともある。とくにパレスチナ問題のような長期的な難しい問題ではなおそうだ。

 今回のオバマ大統領の戦術は、世界が全般的にオバマに好感をもつなか、むしろ人気がないとされるイスラエルとの距離を縮めることだったのだろう。一般のイスラエル人との距離を縮める役割がイスラエルでのスピーチに期待された。やはり関係が良くないとされているネタニヤフ首相との関係改善も重要なテーマであった。オバマ大統領はイスラエルでのスピーチで、これまで以上にイスラエルの安全保障に理解を示し、歴史的な2国間の紐帯を示した。

 例えばオバマ大統領は、米国とイスラエルの不滅の友情の絆は、米国が最初に国家として承認したイスラエル建国の11分後から始まったという事実を演説で述べた。また、ハマスやヒズボラに対してイスラエルが抱いている脅威についても、十分に理解した発言をした。例えば、「イスラエルには、ハマスに暴力を放棄させ、イスラエルの生存権を認識させるための権利がある」「すべての国家はヒズボラを真のテロ組織と呼ぶべき正義と価値判断を持っている」などの発言だ。加えて、イランの核開発阻止についても、軍事力を含むことを示唆する「すべてのオプション」を準備するという発言をした。

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執筆者プロフィール
渡部恒雄 わたなべ・つねお 東京財団上席研究員。1963年生れ。東北大学歯学部卒業後、歯科医師を経て米ニュースクール・フォー・ソーシャルリサーチで政治学修士号を取得。1996年より米戦略国際問題研究所(CSIS)客員研究員、2003年3月より同上級研究員として、日本の政党政治、外交政策、日米関係などの研究に携わる。05年に帰国し、三井物産戦略研究所を経て現職。著書に『「今のアメリカ」がわかる本』など。
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