北朝鮮「危機」の深層(上)金正恩は軍を掌握しているのか

執筆者:平井久志 2013年4月17日
エリア: アジア

 北朝鮮は弾道ミサイルとみられる物体を列車で日本海側に移送した。米国をはじめ国際社会は中距離弾道ミサイル「ムスダン」(射程2500-4000キロ)や「ノドン」(同1300キロ)、「スカッド」(同500キロ)など複数のミサイルを発射する可能性があるとして4月10日前後から警戒態勢に入ったが、故金日成(キム・イルソン)主席の101回目の誕生日である4月15日になってもミサイルの発射はなかった。

 3月5日に金英哲(キム・ヨンチョル)偵察総局長が朝鮮人民軍最高司令部報道官の声明を発表し、朝鮮戦争の休戦協定を白紙化すると宣言して以来、北朝鮮は「1発の銃声で世界的な核戦争が起きても不思議ではない」と世界を威嚇し、空襲警報を発令したり、「1号戦闘勤務態勢」を命じたり、様々な恫喝と揺さぶりを続けたが、本稿執筆時点では「ミサイル」発射はない。

カテゴリ: 軍事・防衛
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執筆者プロフィール
平井久志(ひらいひさし) ジャーナリスト。1952年香川県生れ。75年早稲田大学法学部卒業、共同通信社に入社。外信部、ソウル支局長、北京特派員、編集委員兼論説委員などを経て2012年3月に定年退社。現在、共同通信客員論説委員。2002年、瀋陽事件報道で新聞協会賞受賞。同年、瀋陽事件や北朝鮮経済改革などの朝鮮問題報道でボーン・上田賞受賞。 著書に『ソウル打令―反日と嫌韓の谷間で―』『日韓子育て戦争―「虹」と「星」が架ける橋―』(共に徳間書店)、『コリア打令―あまりにダイナミックな韓国人の現住所―』(ビジネス社)、『なぜ北朝鮮は孤立するのか 金正日 破局へ向かう「先軍体制」』(新潮選書)『北朝鮮の指導体制と後継 金正日から金正恩へ』(岩波現代文庫)など。
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