今や「BICS」ロシア経済減速で首相更迭も

執筆者:名越健郎 2013年4月19日
エリア: ヨーロッパ

 ロシア経済がいよいよ減速し、低成長時代に入りつつある。低成長が続けば、政権基盤の動揺につながりかねない。プーチン大統領は閣僚の首のすげ替えによって強行突破を図ろうとしており、国民の不満が強まれば、メドベージェフ首相の更迭につながる可能性もある。

 今年1-3月のロシアの国内総生産(GDP)伸び率は1.1%で、鉱工業生産の伸びはゼロだった。経済発展省は今年の成長率を3.6%から2.4%に下方修正したが、同省幹部はこれも楽観的すぎ、1%前後にとどまるとみている。昨年の伸び率は3.4%だった。

 中国、インド、ブラジルなど他の主要新興国と比べて鈍化が顕著で、「BRICS」をもてはやした米投資会社ゴールドマン・サックスは、今やロシアを除いて「BICS」と呼び始めている。

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執筆者プロフィール
名越健郎(なごしけんろう) 1953年岡山県生まれ。東京外国語大学ロシア語科卒業。時事通信社に入社、外信部、バンコク支局、モスクワ支局、ワシントン支局、外信部長、編集局次長、仙台支社長を歴任。2011年、同社退社。拓殖大学海外事情研究所教授。国際教養大学特任教授を経て、2022年から拓殖大学特任教授。著書に、『秘密資金の戦後政党史』(新潮選書)、『ジョークで読む世界ウラ事情』(日経プレミアシリーズ)、『独裁者プーチン』(文春新書)など。
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