「ポスト・チャベス」与党候補の「辛勝」で不安定さ増すベネズエラ情勢

遅野井茂雄
執筆者:遅野井茂雄 2013年4月22日
カテゴリ: 国際 政治
エリア: 中南米

 チャベス大統領の死去に伴い4月14日に行なわれたベネズエラの大統領選挙は、後継のマドゥロ候補(暫定大統領)が、野党反対派のカプリセス候補を1.6%差の接戦の末、辛うじて振り切るという予想外の結果となった。

 カリスマを備えた絶対的指導者の威光を借り、国家資源を総動員して「チャベス主義」の継続を訴えた政権側にとって、この結果は大きな打撃である。昨年10月の大統領選挙でチャベス前大統領が11%の差をつけてカプリレス候補に勝利した時と比べ、大幅に票を失ったことになる。物不足、インフレなど経済状況の悪化や電力の不足、治安の悪化に対し改善の見通しがいっこうに望めない中で、声高に叫ばれた「社会主義の深化」などチャベス主義の継続と、反対派への対決姿勢に対して、同情票よりは批判票が集まる結果となったといえよう。

 逆に、野党連合にとっては、勝利に近い結果であり、カプリセス候補は「3200件で不正があった」とこの結果を認めず、再集計の実施を求めた。とくに15日には両派の対立の中で衝突が発生、その後1週間で、死者8人、負傷者61人を出すなど、選挙結果をめぐり政治危機は高まった

 ベネズエラ情勢に対し国際社会は対応に差を見せた。アメリカのケリー国務長官は、野党側の再集計の要求を支持し、EUもこれに同調した。この中で、選挙監視団を派遣した南米諸国連合(UNASUR)は、今年議長国を務めるペルーの首都リマで18日に緊急首脳会議を開催し、問題の収拾に主導権を発揮した。

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執筆者プロフィール
遅野井茂雄
遅野井茂雄 筑波大学大学院教授、人文社会系長。1952年松本市生れ。東京外国語大学卒。筑波大学大学院修士課程修了後、アジア経済研究所入所。ペルー問題研究所客員研究員、在ペルー日本国大使館1等書記官、アジア経済研究所主任調査研究員、南山大学教授を経て、2003年より現職。専門はラテンアメリカ政治・国際関係。主著に『21世紀ラテンアメリカの左派政権:虚像と実像』(編著)。
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