「世襲」はすべて悪なのか

執筆者:喜文康隆 2005年1月号
カテゴリ: 経済・ビジネス

「新結合の遂行は、これをおこなう人を概念的に純粋に特徴づけるような生涯の職業とはなりえないからである」(シュムペーター『経済発展の理論』)     * 産業再生機構の“ダイエー救済プロジェクト”の募集に、次々に“支援”に名乗りをあげる企業グループのニュースを眺めながら、「彼らはいったいなにを救済するのだろう」という想いがよぎった。救われるのがダイエーの創業者にしてシンボルだった中内功の名誉や資産でも、彼の類まれな「企業家精神」でもないことは、はっきりしている。 かつて問わず語りに中内が投げかけた言葉が思い出される。「息子を後継者にすえるための条件というのはいったい何なんだろうね……」。 それほど親しい間柄でもない人間に対する問いかけに、逆に中内の思いが伝わってきた。まじめに答えた。「第一の条件は、その後継者が人並み以上だということですね。第二はその企業の業績が順調なことでしょう。そのうえで第三には、やはりオーナー一族が一〇%以上の株式を保有することではないでしょうか」。 要するに、「バカ殿」でなくて、会社が上手くまわっていて、そのうえで相当程度の株式を保有していれば、創業者の威厳と説得力で息子への継承は可能という意味だった。

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