「移民法改正」にブレーキをかけた「ボストン・テロ」の衝撃

執筆者:足立正彦 2013年4月29日
エリア: 北米

 4月15日に発生したボストン・マラソンを標的とした爆破テロ事件から2週間が経過した。同爆破テロ事件では3名が死亡、200名以上の負傷者を出す惨事となるとともに、各方面に多大な衝撃をもたらしている。第2期目のオバマ政権の内政面での取り組みにも少なからぬ影響を及ぼしているが、本稿では、とりわけ、移民法改正法案の審議への影響について焦点を当てたい。

葬られた「銃規制」法案

 昨年11月に行なわれた大統領選挙でバラク・オバマ大統領は大統領選挙人332名を獲得して再選を果たした。だが、大統領選挙での再選から1カ月余り後の12月14日、コネティカット州ニュータウンにあるサンディフック小学校で銃乱射事件が発生し、児童、教師ら26名が犠牲となった。同銃乱射事件は、今年1月に招集された第113議会でオバマ政権が銃規制強化法案の成立を目指さざるを得ない重大な転機となった。筆者がオバマ政権の銃規制強化への取り組み姿勢について「成立を目指さざるを得ない」と受け身の表現を使ったのは、オバマ大統領は銃規制強化の政治的な難しさを理解し、第1期目には一貫して慎重姿勢を示していたためである。それは第1期目の後半のスタート時の2011年1月に発生したある銃乱射事件後の対応からも分かる。

カテゴリ: 社会 軍事・防衛
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執筆者プロフィール
足立正彦(あだちまさひこ) 住友商事グローバルリサーチ株式会社シニアアナリスト。1965年生まれ。90年、慶應義塾大学法学部卒業後、ハイテク・メーカーで日米経済摩擦案件にかかわる。2000年7月から4年間、米ワシントンDCで米国政治、日米通商問題、米議会動向、日米関係全般を調査・分析。06年4月より、住友商事グローバルリサーチにて、シニアアナリストとして米国大統領選挙、米国内政、日米通商関係、米国の対中東政策などを担当し、17年10月から米州住友商事ワシントン事務所に勤務、20年4月に帰国して現職。
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