「アベノミクスの興奮」と「東北被災地の現状」の悲しき乖離

執筆者:寺島英弥 2013年5月7日
タグ: 人手不足 日本
エリア: アジア
 被災地の再建は進んでいない。震災後2年が過ぎても、更地が目立つ石巻市門脇町(筆者撮影)
被災地の再建は進んでいない。震災後2年が過ぎても、更地が目立つ石巻市門脇町(筆者撮影)

 東日本大震災が発生から3年目を迎えた今年3月11日、筆者は最大の被災地となった石巻市の門脇町にいた。津波と大火の後、今も土色の荒れ野が広がる門脇町の浄土宗西光寺。喪服の遺族たちが本堂から次の間にあふれるほど参集し(およそ500人か)、「南無阿弥陀仏」の終わりない唱和、堂内がかすむほどの線香の中で、犠牲となった家族への祈りを捧げ続けた。「1年前は人が寺に入りきらず、本堂前の庭もいっぱいになった。それぞれに三回忌の法要をする遺族が増えたから、今年はこれでも減った方です」と、追悼の法要を終えた副住職は語った。

カテゴリ: 社会 経済・ビジネス
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執筆者プロフィール
寺島英弥(てらしまひでや) ローカルジャーナリスト、尚絅学院大客員教授。1957年福島県相馬市生れ。早稲田大学法学部卒。『河北新報』で「こころの伏流水 北の祈り」(新聞協会賞)、「オリザの環」(同)などの連載に携わり、東日本大震災、福島第1原発事故を取材。フルブライト奨学生として米デューク大に留学。主著に『シビック・ジャーナリズムの挑戦 コミュニティとつながる米国の地方紙』(日本評論社)、『海よ里よ、いつの日に還る』(明石書店)『東日本大震災 何も終わらない福島の5年 飯舘・南相馬から』『福島第1原発事故7年 避難指示解除後を生きる』(同)、『二・二六事件 引き裂かれた刻を越えて――青年将校・対馬勝雄と妹たま 単行本 – 2021/10/12』(ヘウレーカ)、『東日本大震災 遺族たちの終わらぬ旅 亡きわが子よ 悲傷もまた愛』(荒蝦夷)、3.11以降、被災地で「人間」の記録を綴ったブログ「余震の中で新聞を作る」を書き続けた。ホームページ「人と人をつなぐラボ」http://terashimahideya.com/
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