「領土二等分」プーチン発言の意味するもの

名越健郎
執筆者:名越健郎 2013年5月3日
カテゴリ: 国際 外交・安全保障
エリア: ロシア

 4月29日の日露首脳会談で、プーチン大統領が北方領土問題解決策に関し、面積を折半する二等分方式に言及したことが話題になった。ロシア得意の揺さぶりであり、相手の出方を見る変化球、または経済協力を促す呼び水ともとれるが、大統領の真意は不明だ。ただ、中国、ノルウェーなど技術的な領土問題と違って、北方領土は戦後処理、歴史認識の絡む問題だけに交渉は複雑になる。

 プーチン大統領は安倍首相に対し、中国やノルウェーの事例に触れ、「面積を半分ずつにした」と述べ、「両事例は第2次大戦に起因するものではないという点で難しい話ではなかった」と述べたという。仮にロシアが領土折半を日本に提案したら、尖閣問題で「領土疲れ」の日本国民は渋々でも承諾する可能性が強い。

 新生ロシアは旧ソ連崩壊後、周辺諸国との国境を画定する余裕がなかったが、プーチン大統領は「すべての国との国境を画定したい」とし、次々に国境問題を解決していった。

 大統領は2004年10月の訪中で、中露国境問題の最後に残った3つの川中島について、面積を折半する政治解決で合意。50年来の国境紛争を最終決着させた。05年1月にはカザフスタンを訪れ、未画定の陸上8カ所とカスピ海の海上国境について、係争地を折半する原則でナザルバエフ大統領と政治決着させた。ロシアは04年2月、北朝鮮との17キロの国境についても法的画定作業を完了した。

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執筆者プロフィール
名越健郎
名越健郎 1953年岡山県生れ。東京外国語大学ロシア語科卒業。時事通信社に入社、外信部、バンコク支局、モスクワ支局、ワシントン支局、外信部長を歴任。2011年、同社退社。現在、拓殖大学海外事情研究所教授。国際教養大学東アジア調査研究センター特任教授。著書に『クレムリン秘密文書は語る―闇の日ソ関係史』(中公新書)、『独裁者たちへ!!―ひと口レジスタンス459』(講談社)、『ジョークで読む国際政治』(新潮新書)、『独裁者プーチン』(文春新書)など。
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