いよいよ現実味を帯びる中国経済「ハードランディング・シナリオ」

執筆者:高村悟 2013年5月10日
 入居者などいなくとも続々と高層マンションが建設される摩訶不思議な中国の経済成長ぶり (C)時事
入居者などいなくとも続々と高層マンションが建設される摩訶不思議な中国の経済成長ぶり (C)時事

「ウォール・ストリートを打ち負かした中国おばさんパワー」

 大手メディアにしては品格を感じさせない、こんな見出しが先月下旬、『人民日報電子版』や『広州日報』 はじめ中国の主要紙を飾った。4月中旬に金相場が暴落した際に中国の一般庶民、とりわけ女性がここぞとばかりに金買いに走り、わずか10日間で合計300トンの金が中国の個人によって購入された。これで金相場の下落を狙った米金融界のもくろみは崩れ、相場が押し戻される原動力になった、という趣旨だった。先進国では「ついに金相場が調整に入った」という悲観的な見方が広がり、買いに回る人は少なかったが、中国ではまったく逆だった。記事の狙いは中国の購買力とグローバル市場への影響力を誇示することだった。

 

「金買い漁り」の意味は?

  だが、国内の預金や不動産、株式でなく、世界のどこに行っても換金可能で、人民元とも無関係の金を庶民が選好しているとすれば、それは中国経済への不信任そのものだろう。300トンの金は総額1兆6000億円とも言われ、それが中国の金融市場から10日間で海外に流れ出したとすれば、キャピタルフライト(資本逃避)が庶民にも広がっていることになる。そこに気がついたのか、中国当局は5月初めになって、中国黄金協会のコメントを使って、「中国おばさんパワー」説の否定に走ったが、時すでに遅しで世界に中国人の金買い漁りが知られてしまった。

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