存廃の岐路に立った開城工業団地

平井久志
執筆者:平井久志 2013年5月16日
エリア: 朝鮮半島

 韓国と北朝鮮の経済協力の象徴である開城工業団地が「閉鎖」目前の状態だ。

 開城工業団地に最後まで残っていた韓国側の洪良浩(ホン・ヤンホ)開城工業団地管理委員長ら7人が5月3日に韓国側へ引き上げ、開城工業団地にいた韓国側関係者が全員同工業団地から撤収した。

 開城工業団地は2004年から操業を始めたが韓国人関係者が完全撤収したのは初めてだ。

 しかし、興味深いのは韓国も北朝鮮も「閉鎖」という言葉をまだ使っていないことだ。

 

韓国側「全員撤収」のナゾ

 北朝鮮は4月3日に韓国側関係者の団地への立ち入りを禁じ、帰還だけを認める措置に出た。入居企業は原材料や資材不足で操業に支障が出始めた。

 北朝鮮の金養建(キム・ヤンゴン)統一戦線部長が4月8日に突然、団地を視察し、開城工業団地の操業を「暫定中止」し、北朝鮮労働者全員を撤収させると発表した。北朝鮮労働者5万3000人は4月9日から姿を見せず、団地の操業が全面ストップした。

 韓国の柳吉在(リュ・ギルジェ)統一部長官が4月11日に事態打開のための対話を提案したが、北朝鮮の祖国平和統一委員会は4月14日、この提案を事実上拒否した。

 韓国政府は4月25日に南北当局者の実務協議を提案したが、国防委員会政策局は同26日に談話を発表し実務協議を拒否した。

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執筆者プロフィール
平井久志
平井久志 ジャーナリスト。1952年香川県生れ。75年早稲田大学法学部卒業、共同通信社に入社。外信部、ソウル支局長、北京特派員、編集委員兼論説委員などを経て2012年3月に定年退社。現在、共同通信客員論説委員。2002年、瀋陽事件報道で新聞協会賞受賞。同年、瀋陽事件や北朝鮮経済改革などの朝鮮問題報道でボーン・上田賞受賞。 著書に『ソウル打令―反日と嫌韓の谷間で―』『日韓子育て戦争―「虹」と「星」が架ける橋―』(共に徳間書店)、『コリア打令―あまりにダイナミックな韓国人の現住所―』(ビジネス社)、『なぜ北朝鮮は孤立するのか 金正日 破局へ向かう「先軍体制」』(新潮選書)『北朝鮮の指導体制と後継 金正日から金正恩へ』(岩波現代文庫)など。
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