存廃の岐路に立った開城工業団地

執筆者:平井久志 2013年5月16日
エリア: アジア

 韓国と北朝鮮の経済協力の象徴である開城工業団地が「閉鎖」目前の状態だ。

 開城工業団地に最後まで残っていた韓国側の洪良浩(ホン・ヤンホ)開城工業団地管理委員長ら7人が5月3日に韓国側へ引き上げ、開城工業団地にいた韓国側関係者が全員同工業団地から撤収した。

 開城工業団地は2004年から操業を始めたが韓国人関係者が完全撤収したのは初めてだ。

 しかし、興味深いのは韓国も北朝鮮も「閉鎖」という言葉をまだ使っていないことだ。

 

韓国側「全員撤収」のナゾ

 北朝鮮は4月3日に韓国側関係者の団地への立ち入りを禁じ、帰還だけを認める措置に出た。入居企業は原材料や資材不足で操業に支障が出始めた。

カテゴリ: 政治
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執筆者プロフィール
平井久志(ひらいひさし) ジャーナリスト。1952年香川県生れ。75年早稲田大学法学部卒業、共同通信社に入社。外信部、ソウル支局長、北京特派員、編集委員兼論説委員などを経て2012年3月に定年退社。現在、共同通信客員論説委員。2002年、瀋陽事件報道で新聞協会賞受賞。同年、瀋陽事件や北朝鮮経済改革などの朝鮮問題報道でボーン・上田賞受賞。 著書に『ソウル打令―反日と嫌韓の谷間で―』『日韓子育て戦争―「虹」と「星」が架ける橋―』(共に徳間書店)、『コリア打令―あまりにダイナミックな韓国人の現住所―』(ビジネス社)、『なぜ北朝鮮は孤立するのか 金正日 破局へ向かう「先軍体制」』(新潮選書)『北朝鮮の指導体制と後継 金正日から金正恩へ』(岩波現代文庫)など。
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