IRSの不祥事で「茶会党」は息を吹き返すか

足立正彦
執筆者:足立正彦 2013年5月22日
エリア: 北米

 前回コラム「『領事館襲撃事件』を蒸し返す米共和党『批判の矛先』」では、昨年9月に発生した在リビア・ベンガジ米国領事館襲撃事件でのオバマ政権の対応について野党共和党が再び批判を強めている状況を紹介した。だが、オバマ政権が現在共和党から厳しく批判されているのはこの事件を巡る対応についてだけではない。今月に入ってから発覚した他の2つの不祥事についてもオバマ政権は共和党のみならず、メディアからもその責任を追及される事態に陥っている。1つは、内国歳入庁(IRS)が茶会党系の保守系団体に対してより厳しい税務審査を実施していた問題であり、もう1つは司法省がAP通信の記者、編集委員らジャーナリストの通話記録を秘密裏に2カ月間収集していた問題である。本コラムではIRSに関する不祥事を取り上げ、今後の影響などについて検証していきたい。

 オバマ政権発足直後からの大規模な財政出動や医療保険制度改革の導入などに強く反発した保守派有権者によるティーパーティー(茶会党)運動が全米各地に広がっていた2010年当時から、IRSは「小さな政府」の実現を訴える茶会党系の保守系団体に対し厳格な税務審査を実施していた事実が5月10日に発覚した。IRSは非営利団体としての非課税措置の適用を申請する書類に「茶会党(”Tea Party”)」あるいは「愛国者(”patriot”)」といった名前を使用している保守系団体を標的にして通常よりも厳しい税務審査を行なっていたのである。ジェイ・カーニー大統領報道官、キャサリン・ルームラー大統領首席法律顧問、デニス・マクドノー大統領首席補佐官といったオバマ大統領の側近の一部はIRSのそうした政治的意図に基づく不当な税務審査の事実について財務省の監査官が報告書としてまとめていたことを今年4月下旬時点で既に把握していた。だが、オバマ大統領には報告されず、IRSの不祥事発覚に関する報道と同時にオバマ大統領自身もそうしたIRSの不当な税務審査を知るに至ったのである。

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執筆者プロフィール
足立正彦
足立正彦 住友商事グローバルリサーチ シニアアナリスト。1965年生れ。90年、慶應義塾大学法学部卒業後、ハイテク・メーカーで日米経済摩擦案件にかかわる。2000年7月から4年間、米ワシントンDCで米国政治、日米通商問題、米議会動向、日米関係全般を調査・分析。06年4月より現職。米国大統領選挙、米国内政、日米通商関係、米国の対中東政策などを担当する。
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