アメリカに飛び火したユコス問題を考える

執筆者:喜文康隆 2005年2月号
エリア: 北米

「古い資本主義が新しい資本主義によって終局的にとってかわられた時期をかなり正確に決定することができる。――それはすなわち二〇世紀の初めである」(レーニン『帝国主義』)     *「彼女(判事)がロシアはどこにあるのか知っているかどうか、私には分からない」 ロシア政府が差し押さえた石油企業ユコスの子会社株の競売をめぐって、米国の裁判所が昨年末、ロシアの国営企業ガスプロムなどに参加差し止め命令を出した。プーチン大統領はこの判断について冒頭のように述べ、たたみかけるように「国際法に反するもの」と厳しく批判した。 ユコス創業者のホドルコフスキー前CEO(最高経営責任者)は、エリツィン時代に急成長したオリガルヒ(新興財閥)の象徴であり、彼と大統領の対立は、プーチン政権の基盤の危ういバランスを示している。 思いつくままに列挙してみても、(1)エリツィン時代の国有資産売却・民営化の反省(2)オリガルヒと庶民との貧富の差が生みだした社会の分裂(3)イラク戦争以降のロシア経済に占める石油部門の比重の拡大(4)中国に対する戦略的武器としての石油部門のもつ政治的パワー(5)プーチン政権内に生まれつつある反米感情――今回のユコスの実質国有化問題には、ロシアの政治・経済・社会にまたがるあらゆるテーマがつまっている。

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