「沖縄地位未定論」と中国の真の意図

野嶋剛
執筆者:野嶋剛 2013年5月28日
エリア: 中国・台湾
 「琉球問題は未解決」と主張する論文を掲載した5月8日付の人民日報 (C)時事
「琉球問題は未解決」と主張する論文を掲載した5月8日付の人民日報 (C)時事

 中国の人民日報が5月8日に社会科学院の研究者による「馬関条約(下関条約)と釣魚島問題を論ず」と題した論文を掲載した。日本では「中国が沖縄の領有権まで主張し始めた」という風に受け止められがちだったが、この論文の背後にある中国政府の真の意図を読み取るとすれば「沖縄の地位(帰属)は未定である」という問題提起だと考えるべきだ。これは、1951年のサンフランシスコ講和条約で固まった米国中心の国際秩序へのチャレンジであり、尖閣諸島問題も絡めつつ沖縄を足場とする日米同盟を揺さぶろうとしているのである。

 

カイロ宣言とポツダム宣言

 今回の論文を読む限り、一部の報道にあったように「沖縄にも中国の領有権が及ぶと示唆した」という解釈はミスリードのように思える。論文は、琉球王国はかつて中国の朝貢国だったが無理やり日本に併合されたと書いているだけである。仮に朝貢国=事実上の属国だったというだけで領有権が中国にあることになれば、朝鮮もベトナムも、歴史的に中国に朝貢していた時期があった日本も、その対象に含まれてしまう。中国人はそこまで大胆でも荒唐無稽でもない。

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執筆者プロフィール
野嶋剛
野嶋剛 1968年生れ。ジャーナリスト。上智大学新聞学科卒。大学在学中に香港中文大学に留学。92年朝日新聞社入社後、佐賀支局、中国・アモイ大学留学、西部社会部を経て、シンガポール支局長や台北支局長として中国や台湾、アジア関連の報道に携わる。2016年4月からフリーに。著書に「イラク戦争従軍記」(朝日新聞社)、「ふたつの故宮博物院」(新潮選書)、「謎の名画・清明上河図」(勉誠出版)、「銀輪の巨人ジャイアント」(東洋経済新報社)、「ラスト・バタリオン 蒋介石と日本軍人たち」(講談社)、「認識・TAIWAN・電影 映画で知る台湾」(明石書店)、訳書に「チャイニーズ・ライフ」(明石書店)。
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