米住宅金融の膨れ上がるリスクに「打つ手なし」

執筆者:青木勝 2005年2月号
エリア: 北米

[ニューヨーク発]アメリカの連邦住宅抵当金庫(ファニーメイ)が不正会計問題に揺れている。米証券取引委員会(SEC)は去る十二月十五日、同社に過去四年間の決算の修正を要求。これを機に、フランクリン・レインズ会長兼最高経営責任者(CEO)とティモシー・ハワード副会長兼最高財務責任者(CFO)の更迭劇にも発展した。
 不正会計が表面化したのは、監督当局の連邦住宅貸付機関監督局(OFHEO)がファニーメイの兄弟会社・連邦住宅貸付抵当公社(フレディマック)の粉飾決算(二〇〇三年)を踏まえて実施した特別検査がきっかけ。OFHEOは昨年九月、ファニーメイに(1)会計原則を逸脱したデリバティブ(金融派生商品)などの処理、(2)役員賞与にかかわる業績目標達成を目的とした費用計上の延期――などの問題を指摘。その判断を委ねられたSECも不適切な処理を確認した。決算修正で計上される損失は約九十億ドル。またOFHEOは、ファニーメイの〇四年九月末の自己資本が規制上の最低水準を約三十億ドル下回っているとし、今年六月までに自己資本を三割増やすよう命じている。
 ファニーメイとフレディマックは、米住宅金融市場約八兆ドルの心臓部。民間金融機関から住宅ローン債権を買い取り、住宅ローン担保証券(MBS)を保証・発行する証券化業務を営むため、お金とリスクの流れの中核に位置している。住宅金融市場におけるシェアは二社で四割を超え、ここが動揺すれば金融システムそのものが揺らぐのは確実だ。

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