「電池」が変える産業パラダイム 2 「プリウス」を生み出したトヨタと松下の協調

執筆者:船木春仁 2005年2月号
カテゴリ: 経済・ビジネス

 愛知県との県境に近いJR新所原駅(静岡県湖西市)は、華やいだものは何もない田舎駅だ。しかし、この駅に頻繁に外国人が降り立つ。一台だけ待機するタクシーに乗って彼らが向かう先は、パナソニックEVエナジー(PEVE)だ。PEVEは松下電器産業と松下電池工業、そしてトヨタ自動車の三社が一九九六年に合弁で設立した自動車用蓄電池の開発・製造会社である。 一〇分ほどでPEVEに着くと、外国からの客たちは一様に「ここが、あのプリウスの心臓部を作っている場所か」といった面持ちになることだろう。PEVEの社長、藤井雄一は、「世界の自動車や電池メーカーでここを訪ねたことがない会社はない」と胸を張り、「ここを見ることで、トヨタの本気度と技術の先行度を必死に探ろうとする」と続ける。 今、アメリカではハイブリッド車(HEV=Hybrid Electric Vehicle)が、消費者団体から増産要求が出るほど売れまくっている。HEVとは、ガソリンエンジンと電気モーターを併用して走る低燃費・低公害車のこと。ハイブリッドには、混成物とか交配種という意味がある。 HEV市場の立て役者は、なんといってもトヨタの「プリウス」だ。初代の発売は九七年一二月で、普及ペースはゆったりとしていたが、二〇〇三年九月に発売された新型プリウスで一挙に火が点いた。モーター出力を高めて加速性能を向上させ、一リッター当たり三五・五キロの低燃費を実現。一五〇〇ccのガソリンエンジンで二〇〇〇ccクラスの走行性と環境対応を両立させた。スタイリッシュなボディーデザインも人気となり、〇四年度はアメリカ向けで四万七〇〇〇台、国内外合わせて一三万台を生産する。

この記事は役に立ちましたか?
フォーサイト最新記事のお知らせを受け取れます。
この記事をSNSにシェアする
執筆者プロフィール
comment:0
icon
  • 記事の閲覧、コメントの投稿には、会員登録が必要になります。
フォーサイトのお申し込み
価値あるバックナンバー
注目記事ランキング
  • 24時間
  • 1週間
  • f
  • 新着
  • 高評価
  • コメント数順