株価急落の陰で進むアベノミクス「換骨奪胎」の策謀

磯山友幸
執筆者:磯山友幸 2013年5月30日
エリア: 日本
 まだまだ笑ってばかりもいられない (C)時事
まだまだ笑ってばかりもいられない (C)時事

 「政府では市場原理主義ではなく『瑞穂の国の資本主義』を総理がサミットでスピーチする予定です。株主万能でない多様なステークホルダーの利益に資する資本主義です」

 安倍晋三首相が掲げる経済政策、いわゆるアベノミクスの司令塔である甘利明・経済再生担当相が5月中旬、自民党側の政策責任者である高市早苗・政調会長にこんな注文を付けたのだという。文言にはないが、「党においても、この『瑞穂の国の資本主義』をよくよく念頭に置いておくべし」と言いたかったのだろう。要は、高市氏が本部長を務める党の日本経済再生本部が5月10日に「中間提言」をまとめたが、その内容が「市場原理主義」だと甘利氏が噛み付いたのである。

 甘利氏と言えば、2月9日に横浜市で講演した際、年度末(3月末)の日経平均株価について「1万3000円を目指して頑張る気概を示すことが大事だ」と述べたことが報じられた。その数字は、黒田東彦・日銀新総裁による「異次元緩和」によって4月5日に突破。兜町などでは「甘利越え」と騒がれ、替え歌まで誕生した。株価上昇が唯一の目標だったのかと思いきや、どうもそう単純な話ではなかったらしい。

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執筆者プロフィール
磯山友幸
磯山友幸 1962年生れ。早稲田大学政治経済学部卒。87年日本経済新聞社に入社し、大阪証券部、東京証券部、「日経ビジネス」などで記者。その後、チューリヒ支局長、フランクフルト支局長、東京証券部次長、「日経ビジネス」副編集長、編集委員などを務める。現在はフリーの経済ジャーナリスト。著書に『国際会計基準戦争 完結編』、『ブランド王国スイスの秘密』(以上、日経BP社)、共著に『株主の反乱』(日本経済新聞社)、編著書に『ビジネス弁護士大全』(日経BP社)などがある。
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