「ウォッフ、ウォッフ」――猿かゴリラの咆哮のような声が響き渡った。昨年十一月、スペインの首都マドリードで行なわれたサッカー親善試合、スペイン対イングランド戦での出来事だ。試合中、スペイン人サポーター数人が、アフリカ系の一部選手を「猿に見立てる」という人種差別行為を行なったとして、世界中にニュースが流れた。 その後も、引き続き何試合かで同様の問題が発生。地元スペインのメディアも、連鎖的な広がりを警戒し、「われわれは差別国家か」などの見出しを並べ、しばらく議論が止まなかった。しかし、実態は、差別国家というよりも外国人に対する意識の低い「外国人オンチ」の国で、それこそが「差別的」問題を引き起こしてしまったのだ。
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