「核の番人エルバラダイ」の三選がもめる理由

執筆者:北村隼郎 2005年2月号

本人はヤル気満々、中国なども味方につけたが、アメリカは強く抵抗。このままではIAEAそのものが弱体化しかねない。[ウィーン発]国際原子力機関(IAEA)が揺れている。原因はトップである事務局長の人事だ。二期八年間を務めてきた現職のモハメド・エルバラダイ氏が三期目(二〇〇五年十二月から四年間)出馬を表明すると、米国が強硬に反対。北朝鮮やイランなど相次ぐ核兵器開発疑惑でかつてなく注目されるようになった“核の番人”トップの座をめぐる綱引きは、将来の核拡散防止体制の見直しの行方も左右しようとしている。「国際機関のトップ人事は、加盟各国の持ち回りが望ましい」 昨年十月来日したジョン・ボルトン米国務次官(軍備管理・国際安全保障担当)は、都内で講演し、エルバラダイIAEA事務局長の三選を支持しないことを宣言した。IAEA経費の二六%(二〇〇五年度本予算ベース)を負担する最大拠出国の米国が、一九・五%を拠出する拠出額第二位の日本に「エルバラダイ下ろし」への同調を暗に促した瞬間だった。 IAEAの最大の役割は、核拡散防止条約(NPT)に加盟する核兵器非保有国が、原子力発電など核の民生利用を隠れ蓑にして核兵器を開発しないよう核関連施設を点検する「保障措置」(核査察)にある。ここ数年は、北朝鮮がNPT離脱を宣言してIAEA査察官を追放したり、イランの核開発疑惑が深まるなどしたため、約二千二百人のIAEA職員を率いる事務局長の仕事ぶりはいっそう注目されるようになっている。

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